頭のいい人は知っている!「いい人を採用したいなら、やってはいけない」NG業務
「あなたの会社はZ世代に嫌がられるような採用活動をしていませんか?」――そう語るのは、ワンキャリア取締役の北野唯我さん。「常に人手不足」「認知度が低い」「内定を辞退されてしまう」「外資系との給与さが開いている」といった多くの採用担当者、経営者の悩みを解決するため、北野さんが執筆したのが、著書『「うちの会社にはいい人が来ない」と思ったら読む 採用の問題解決』です。これまで属人的で全体像が見えなかった採用活動を構造化し、3000社以上の企業の採用支援実績、180万人の求職者のデータに基づいた「新しい採用手法」を紹介した一冊です。この記事では、本書より一部を抜粋・編集して紹介します。 ● 「やった気になるけど成果につながらない業務」を減らせ 母集団形成にしても、クロージングにしても、フォローアップにしても、「やろうと思えばできること」は無限に存在している。 たとえば、イベント登壇や、自社のオウンドメディアでの発信、候補者とのランチやディナーなどの接点創出。採用担当者が時間を使おうと思えば上限がない。結果、成果につながっているかどうかはわからないが、やった気になる業務が、採用活動では大量に発生してしまう。特に新卒採用は期間が長期にわたる。これが、「新卒採用暇なし」の最大の課題である。 「重要度は低いが緊急性の高い業務ばかりに対処するので手一杯」の状況が続くことで、「重要度は高いが、緊急性が低い業務」は後回しにしがちになるのが、採用現場の常である。こうした「やった気になるけど成果につながらない業務」を減らすことは、限られたリソースを効果的に活用し、実際に成果を出すために重要である。 ● 抜本的な解決のために「採用業務全体の設計」をする ただし、今ある無駄な業務の削減以上に、根本的に必要なのは採用業務全体の設計である。設計自体にミスがある場合、小手先だけを工夫しても抜本的な解決にはならない。新たに採用活動を始めようとしている企業はもちろん、既に採用活動をしていて今後強化したい企業も自社と比較しながら参考にしてほしい。以下に、その具体的な方法を示したい。 ①業務を整理、分類する まず、採用改善業務を「採用マーケティング」と「採用オペレーション」に分ける。採用マーケティングは、長期的な効果を目指した戦略的活動を指し、採用オペレーションは短期的な成果を出すための実務的活動を指す。 採用マーケティング:企業ブランディング、長期的な採用戦略の構築、認知度向上など。 採用オペレーション:面接のスケジューリング、候補者フォローアップ、内定通知など。 ②採用オペレーションに集中する 短期的に成果を出すためには、まず採用オペレーションに集中することが必要である。具体例は次に挙げる。反対に、たとえば、企業ブランドや企業の認知度向上は長期的視点で取り組む必要がある。 ・母集団形成 具体例:イベント登壇数や求人媒体への広告掲載量を増やし、1回あたりの接点効率にフォーカスする。企業ブランドの認知度向上は短期間で成果を出しにくいため、長期的視点で取り組む。 ・クロージング 具体例:内定承諾率を高めるために、候補者とのコミュニケーションを改善する。具体的には、オファーレターの内容を具体的にし、内定前後で社員座談会やメンターとの接点を充実させる。 ・フォローアップ 具体例:内定通知後のフォローアップを強化する。定期的な連絡や入社前の研修を提供し、候補者との接触頻度を高める。結果、内定から入社までの間に候補者の不安を取り除き、入社率を向上させる。 ③KPIを設定し、成果を見える化する 各業務に対して具体的なKPIを設定し、その達成状況を定期的に評価する。以下に例を示す。 母集団形成:イベント登壇数、応募者数、求人媒体の閲覧数など。 クロージング:内定通知数、内定承諾率、オファーレターの返送率など。 フォローアップ:フォローアップの実施回数、候補者からのフィードバック、入社率など。 ④効率化ツールを導入する 採用業務を効率化するためのツールを導入する。具体的には以下の通りである。 ATS(Applicant Tracking System):候補者情報の管理、面接スケジュールの調整、自動通知機能などを活用し、作業の効率化を図る。 コミュニケーションツール:SlackやMicrosoft Teamsなどのツールを活用し、社内外のコミュニケーションを円滑に行う。 「やった気になるけど成果につながらない業務」を減らすことは、採用担当者の時間とリソースを有効に活用し、実際の成果を上げるために不可欠である。業務の整理と分類、オペレーションへの集中、KPIの設定と評価、無駄な業務の削減、効率化ツールの導入を通じて、採用活動の質を高め、優れた人材を効果的に採用することが可能になる。
北野 唯我