東大生がイチオシ。「子供が成長する」夏休みの課題図書3選
―[貧困東大生・布施川天馬]― 夏休みシーズンに入りました。夏と言えば、祭りに部活に、学生が忙しい時期ですが、宿題の存在も忘れてはいけません。特に夏休みの読書感想文には苦労される方も多いのではないでしょうか。私も、今でこそ、こうして文章を書くことに抵抗はなくなっていますが、高校生当時は作文が嫌いで仕方ありませんでした。 読書感想文には二つのハードルがあります。ひとつは、書くハードル。もうひとつは、そもそもの課題図書を選んで読むハードルです。課題を達成できるような深みのある本でなくては、1000文字の感想など書けません。 今回は、高校生の読書感想文にお勧めであり、大人もしっかり楽しめる課題図書用の本を3冊お伝えします!
『老人と海』
高校生の読書感想文と言えば、『老人と海』は外せません。アメリカの作家アーネスト・ヘミングウェイによる短編で、人間の気高さを描いています。 寂れた漁村に住む老人漁師が、84日もの不漁の後に、海に出ます。そして、大きな大きなカジキと出会う。3日もの死闘の末、彼はこの魚を仕留めますが、村へ帰る道すがら、サメにこの獲物の大半を食われてしまう。 普通の人間であれば、いかに大きな獲物とはいえ、3日にもわたってたった一人、孤独に戦い続けることは難しいでしょう。それに、その戦いによって得たものを、後からやってきたサメに食い荒らされてしまっては、絶望の淵に立たされても無理はない。 しかし、老人は立ち直り、また釣りに行くことを村の少年と約束します。 私は、この小説に、何度打ちのめされても立ち直ることのできる人間の強靭性を見ることができるように感じます。近年では「レジリエンス」という言葉で知られる、弾性を持ったしなやかな回復力を、ここに見出すことができるのではないでしょうか。 高校生の頃は、何かと挫折することが多い年頃です。だからこそ、どんな荒波にも負けない老人の雄姿を見て、人生について何ごとか考える時間があってもいいのではないでしょうか。お勧めの一冊です。