「見るのはスタート時間だけ」 プロ14年目・香妻琴乃のQTとの向き合い方
◇国内女子◇QTファイナルステージ 3日目(28日)◇葛城GC宇刈コース(静岡)◇6454yd(パー72) 【画像】香妻琴乃、涙の初優勝 ツアー1勝の香妻琴乃が、秒速7.6mの強風(正午時点)もあってスコアが停滞したフィールドで急浮上した。7バーディ、5ボギーの「70」で通算1オーバー17位とし、58位スタートから来季1回目のリランキング出場までの目安となる「QTランキング35位前後」の“圏内”に飛び込んだ。 2017年「マンシングウェアレディース東海クラシック」でツアー初優勝を飾って以降、肩や腰の痛みなどもありスイングが安定せず、2勝目はおろかシード入りも逃し続けてきた。予選会(QT)は2020年から4年連続で1次で失敗。最終QTの出場は、優勝シードを喪失した翌年の19年以来となる。 失敗が続いてきたQTに限り、香妻はあえて順位を意識から外しているという。「QT(で見るの)はスタート時間だけ」と、この日もスタート前に58位だったことすら正確に把握していなかった。「自分が1年間やってきた、ベストのゴルフができればいいと思ってやっています」。プロ14年目となった今年は先週の1次を21位(A地区)でようやく突破し、最終QTもクリアできる位置で最終日を迎える。 今季ツアーは出場6試合すべて予選落ち。シーズン中は「全部が課題だった」と話すが、いまは「先週くらいからショットとパットがかみ合い始めた」という。何かを変えた自覚があるのは、大きなミスをしない堅実なコースマネジメント。「無理な攻め方をしない。ボギーになりそうなら諦める。今週もダブルボギーを打たないように」。連日の強風に見舞われた今週も、シーズン中の反省が生きている。 「優勝? もちろんしたいです。来年(ツアーに)出たいけれど、結果次第なので…。行けるところまで行ければ、ある程度であればいいのかな」。レギュラー返り咲きの懸かる大切な最終日も、欲張りすぎず、ほどほどに。「今日のようなプレーができればいい」と和やかな表情を向けた。(静岡県袋井市/塚田達也)