倒産数は過去最多なのに…なぜ「訪問介護」基本報酬引き下げ?経営者に聞く現状&今後「介護業界が突入する淘汰の時代」
■2040年を境に「淘汰」されていく?介護施設は“選ばれる”時代に
また「団塊ジュニア世代」が65~70歳を迎え、日本の高齢者人口がピークを迎えるとされる2040年。それ以降になると高齢者の数が減ってきてサ高住などの施設でも倒産が増え、介護業界が淘汰されていくと島田さんはいいます。 「そもそも人口が減って需要供給バランスが崩れる。今は人不足で、ここ10年20年は本当に大変だと思いますが、2040年を過ぎると外国人労働者の受け入れもさらに進み、今度は人余りが出てくる。また、団塊ジュニアの方は一度自分の親を施設に入れて、家族として介護施設を見てきているから知識と経験がある。その方々が自分の施設を選ぶ際には高いクオリティを求められ、今後は介護施設が今以上に“選ばれる”時代に切り替わっていくでしょう」 島田さんは「おそらく、これからも基本報酬は下げられる一方」としたうえで ・看護力やリハビリ力を高めることで、現在行っている難病の人(医療保険適用)の対応をさらに広げ、介護保険に依存しない独自サービスを確立していくこと ・看護師やリハビリスタッフへも協力を仰ぎ、生活や買い物支援などを一緒に実施していく、社会の困りごとを総和で解決していく組織を目指しています。 「会社としては、介護・看護・リハビリ三位一体となり同じベクトル、共創の心でやっていくという未来像を持っています。もちろんそれに見合う賃金体系の差別化をつけていくことも課題です。2040年までに独自サービスを確立し、この混迷の時代を職員と共に生き抜くため、利他の心で関係性を築くことがもっとも大切だと思っています」 (取材・文 / 津野紗也佳)