あえてディーゼルエンジンという選択。三菱から登場した新型トライトンに乗ってわかった走る楽しさの本質
「ピックアップトラック」と聞くと商用車的なイメージを持たれる読者が多いのではないか? 実際、働くクルマとして世界中で活躍しているし、多くの自動車メーカーが商用車としてラインナップしている。しかし、ピックアップトラックは荷物だけでなく、人を快適に移動させることも大切に考えられた乗り物だ。 【写真で見る】三菱自動車の新型1トンピックアップトラック「新型トライトン」ってどんなクルマ? ■キャブオーバー型とピックアップの違い 街中で見かけるトラックは「キャブオーバー型トラック」が多い。キャブオーバー型とは、ボンネット部分がないかわりに荷台を大きく確保したトラックのこと。いすゞ「エルフ」、三菱ふそう「キャンター」、日野「デュトロ」などが国内における小型トラックの代表モデルだ。
そのキャブオーバー型の荷台には約3mの長尺物が積載できる(一般的な標準ボディの場合)など効率良く運搬ができる反面、エンジンは乗員の真下に配置されるため車内は振動、音ともに大きい。今でこそ小型トラックのBEV(電気自動車)版も販売されているが、いまだ大多数はディーゼルエンジン搭載車だ。 その点、ピックアップトラックは一般的な乗用車と同じくボンネット部分にエンジンを搭載する。そのため車内は静かだし、ボディの前半分だけ見ればSUVのようだ。後ろ半分が荷台だが、ボンネットがあるため前述したキャブオーバー型よりは当然、床面積はせまくなる。
ただ、キャブオーバー型と同じく背の高い荷物(地面から積載物の上部まで3.8mが基本制限で、軽トラックは2.5m)が積載できるなど使い勝手に優れるし、後部座席があるモデルなら乗車人数(トライトンの乗車定員は5名)も確保できる。そうしたことから北米をはじめ、アジア各国や中南米、中東、アフリカ、オーストラリアなどでは根強い人気を誇る。 三菱自動車では、1978年に1t積みクラスのピックアップトラックとして「フォルテ」を発売。2023年までの45年の間に約150カ国で約570万台を販売してきた。今回試乗した「トライトン」はそのフォルテをルーツにもつ最新モデルで、同じく1t積みクラスのピックアップトラックに属する。