総裁選でも新政権でも議論されない“日本の急所” ダウンサイジングしなければ破綻する
人口減社会を見越した日本の設計を
新政権はどんな国づくりをすべきか。絶対に忘れてはならないのは、いまの日本の身の丈を考えることである。 まずは、国と地方がかかえる1300兆円もの債務と、それを日銀が買い支えている現状を直視する必要がある。今後、人口は減る一方である以上、歳入を増やすのは難しい。予算の規模も原則、小さくしていかなければ国がもたない。給料が減れば家計の規模を縮小すべきなのと同じである。あらたな借金をする余裕などあるはずがない。 ところが、日本は「失われた30年」にGDPは3割しか増えなかったのに、年金や医療などの社会保障給付費は3倍に増やしてしまった。そちらを手厚くするなら、増税で補うしかないはずだが、増税は有権者の反発を買うから極力避ける。その結果、財務状況は世界最悪になっているのに、なお積極財政の主張がまかり通る。 そうではない。これからの日本は、あらゆる方面でダウンサイジングしなければ立ち行かない。 たとえばインフラ。かつて、公共投資によるインフラ整備は将来への投資だ、と説明されていたのを記憶しているが、とんでもないまやかしだった。高速道路にせよ、整備新幹線にせよ、公共ホールにせよ、高層ビルを核にした再開発にせよ、いったん作られたものを維持するためには、毎年、膨大な維持費が必要になる。 しかも、これまで整備され、今後も整備されようとしているインフラは、日本が1億2000万人を超える人口をかかえ、なおかつ経済成長を続けることを前提に計画された。すなわち、今後の人口減少時代にはあきらかに過剰で、このままでは、私たちの子や孫はもはや必要ないインフラ維持のために、毎年、膨大な負担しなければならなくなる。不要なものを支えるために貧しさを余儀なくされるような未来は、あってはなるまい。 誰が総理になろうとも、いまの日本においては、こうして将来を見通したうえで国づくりをしないと、取り返しがつかないことになる。