大技小技で圧倒の中央学院 自主性養い甲子園初勝利 センバツ
◇センバツ高校野球1回戦(20日、甲子園) ◇○中央学院(千葉)7―1耐久(和歌山)● 【熱戦をもう一度】耐久-中央学院(1回戦) 六回、左翼フェンス前で羽を休めていたハトたちが驚いて飛び立った。低反発バットの導入で外野の守備位置が浅い今大会だが、中央学院は次々に快音を響かせ、耐久外野陣を走らせた。 勝機をぐっと引き寄せたのは、1点リードの六回1死一、二塁。1番・青木勝吾は内に甘く入った直球をバットの芯で捉えた。左翼越えの2点三塁打。「真っすぐ一本に絞り、甘い球を振り抜くことができた」と誇った。2死後、3番・水嶋悠も右中間を破る適時三塁打を放ち、今大会9試合目で初の1イニング2本の長打が飛び出した。 豪快な得点劇だが、力自慢の打線ではない。青木は身長170センチ、水嶋は166センチと小柄だ。本来は七回に三つのバント(うち二つは内野安打)を集めて3点を挙げたように、小技と機動力が持ち味。だから、選手たちは「出来すぎ」と笑うが、今大会最多の13安打でつかんだ甲子園初勝利は手応え十分だろう。 春夏通じて初出場となった2018年春は初戦で逆転サヨナラ負け、同年夏の1回戦も1点差で惜敗した。その後、中央学院は脱丸刈りをはじめ、冬季練習の週休2日制、野球部内にダンス部やクッキング部など「部内部活」を設けるなどユニークなチーム作りを進め、自主性を養ってきた。 迎えた今大会の初戦、相馬幸樹監督は「ファーストストライクをフルスイング」などとシンプルな指示のみに終始したという。だが、選手たちは自ら狙い球など攻略法を考えて大技で流れをつかむと、今度は持ち味の小技で勝負を決めた。 らしさが凝縮された白星に、青木は「自分たちで新しい歴史を作れた」と満足そうだった。【長宗拓弥】