岡山天音「自分を認めないと、他者も認められない」過去一の覚悟で挑んだ“笑いに取り憑かれた男”
撮影中は、正直ただただ苦しかった
――今回の映画は精神的な負担が大きかったと思いますが、お笑いがテーマの作品ということもあり、撮影中にリラックスできる瞬間も多かったですか? 岡山 ツチヤは自分を追い込むようにネタを作っているので、撮影中はただただ苦しかったですね。そのモードでお笑いに接しても気分転換にはならないので、その日の撮影が終わったらランニングしてリフレッシュすることが多かったです。ポップなJ-POPを聴きながら走ったり、ジムで筋トレをしたりすると、身体に溜まった邪気を流せる気がするので(笑)。 ――ツチヤは人間関係を築くのが苦手で壁にぶつかり続けますが、岡山さんも演じながらお芝居で壁にぶつかった瞬間はありますか? 岡山 普段は脇役を演じることが多いなかで、今回は座長というポジションだったこともあり、山場のシーンの前日や当日はめちゃくちゃ緊張しました。ツチヤが壁にぶつかるシーンでは、僕も壁にぶつかっていましたし……。ツチヤの目を通して、他者と対面していると、ツチヤにとっては他者こそが怪物に見えてくるんですよね。怪物たちの中に居ながら自分の大切なものを守ろうとする日々だったので、ツチヤと一緒に心をすり減らしながら何とか生き延びました。ただ今回の現場は、 監督をはじめスタッフさんやキャストの皆さんのサポート体制がすごく強力だったんですよ。そういう意味では、思い切り自分の演技に集中して、壁にぶつかることなく突き進むことができた現場でしたね。
岡山天音
おかやまあまね 1994年6月17日生まれ。東京都出身。2009年、主演ドラマ『中学生日記 シリーズ・転校生(1)~少年は天の音を聴く~』で俳優デビュー。2017年公開の『ポエトリーエンジェル』では第32回高崎映画祭の最優秀新進男優賞を獲得した。近年は映画『キングダム 遥かなる大地へ/運命の炎』、『あの娘は知らない』、ドラマ『日曜の夜ぐらいは…』、『こっち向いてよ向井くん』などに出演。今後は映画『ある閉ざされた雪の山荘で』が2024年1月12日公開予定。 映画『笑いのカイブツ』 不器用で人間関係も不得意なツチヤタカユキは、テレビの大喜利番組にネタを投稿することを生きがいにしていた。6年が経った頃、ついに実力を認められてお笑い劇場の作家見習いになるが、笑いを追求するあまり非常識な行動をとるツチヤは周囲に理解されず淘汰されてしまう。失望する彼を救ったのは、ある芸人のラジオ番組だった。「ハガキ職人」として注目を集めるようになったツチヤは、憧れの芸人から声を掛けられ上京することになるが……。岡山天音が主演を務め、仲野太賀、菅田将暉、松本穂香が共演。2024年1月5日公開。