センバツ2023 見ておきたい「頑張る姿」 報徳選手常連・パン屋小西さん 視力低下の難病 /兵庫
「甲子園で選手たちが頑張る姿を、少しでも目に焼き付けておきたい」。報徳学園のセンバツ出場を喜ぶ西宮市段上町2のパン屋「オリーブの実」の店主、小西浩司さん(61)は視力が低下する難病を抱える。妻の恵子さん(68)とパンを作り続けており「おいしいパンを食べて、厳しい練習も頑張ってほしい」と願いを込める。 開店は午前7時半。選手たちは朝の練習後や登校途中に総菜パンを買い求めに店を訪れる。「頑張りや」。恵子さんは選手一人一人の名前とともに、応援の言葉をかける。永田裕治・前監督が2000年の開店当初からの常連で、「監督がおいしそうにパンを食べている」と選手たちの間で広まっていったという。 浩司さんは約10年前、医師から視力が低下する難病と診断された。治療法はなく、視力は年々低下している。それでも、長年の経験や恵子さんの目に頼りながら、店の奥にある工房でパンを焼き続けている。 浩司さんの宝物は、在学中によく訪れていたOBの小園海斗(広島)や田村伊知郎(西武)らのサイン色紙や卒業した選手たちの寄せ書きだ。「甲子園の舞台で悔いなく楽しんでほしい」とエールを送る。【大野航太郎】 〔神戸版〕