米大統領選近づきドル需要急増、強気続く見通し-JPモルガン
(ブルームバーグ): 米大統領選挙に向けての上昇を見込み、米ドルの需要が先週急増したが、こうした買いは継続する可能性が高いと、JPモルガン・チェースのストラテジストが指摘した。
パトリック・ロック氏らストラテジストのリポートによると、オプション市場では米ドルの買いとシンガポール・ドルおよびオーストラリア・ドルの売りの組み合わせが最も人気の高い取引となっており、これは投資家が中国関連通貨へのエクスポージャーをヘッジしていることを示している。また、メキシコ・ペソおよびユーロに対する米ドルの買い需要も強いという。
米ドルのポジショニングは、このところの買いでショートからニュートラルへと変化したばかり。選挙を前にトレーダーたちがロングポジションを増やす余地が十分にあると、ストラテジストらは指摘した。
リポートは「選挙トレードの時が来た」とし、「10月に入ってからのドル買いにもかかわらず、ドルのネットポジションは全体的には依然としてかなりニュートラルな状態にある。今後2週間の間にさらなる選挙ヘッジの余地があるだろう」と分析している。
ストラテジストらの推計によると、ドルに強気のコールの買いは通常の水準より2標準偏差近く多くなっている。
商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、投機的な投資家は7月に積み上げたドルのネットショートをほぼ完全に解消した。
JPモルガンによると、ユーロがドルに対してパリティー(等価)まで下落することを見込むプットオプションも取引されている。
大統領候補のドナルド・トランプ氏は、当選した場合には欧州にも米国の関税を拡大する可能性を示唆しているため、ユーロの下落リスクが高まっている。
「ユーロ・米ドルのショートポジションは、今後も積み上がる余地がある」とJPモルガンのストラテジストは書いている。
原題:JPMorgan Figures Show Surging Dollar Demand as US Election Nears(抜粋)