「亡くなった母の遺体に48時間添い寝した」ガレッジセール・ゴリ「幼少期は甘えた記憶がほとんどない」
──お父さまが映画のモデルになりつつあるんですね。 ゴリさん:そうですね。親父ってすごく自由な人で。僕ら3兄弟は、母に何回も「おとうとは別れろ」って言ってたんです。それでも、母はいつも「あの人は優しい人だから」って取り合わない。当時はそうやってかばう意味がわからなくて、「もっとけなせばいいのに」って思っていました。 そんな親父は、好き勝手なことをしていたくせに、母が亡くなった瞬間にすごく弱くなっちゃって。「ああ、やっぱりこの人は母ちゃんがいるから自由でいられたんだな。帰ってこられる港があるから遠洋漁業に行けたのかもな」って腑に落ちた気がします。
母が亡くなった後も、親父は「今日はお母さんどこにいるんだ?」って聞いてきて、僕は「もうおかん、死んだやろ」って答えたりして。亡くなる少し前に認知症も始まっていたんですけど、「人生の終盤に思い出すのは母ちゃんのことなんだな。だったら、母ちゃんが元気なときにもっと優しい言葉をかけてやれよ」って思っちゃったり。でも、それが人間なんだろうなと思ったりもします。 PROFILE ガレッジセール・ゴリさん 本名・照屋年之(てるや・としゆき)。1972年、沖縄県出身。1995年に相方の川田広樹さんとお笑いコンビ・ガレッジセールを結成。バラエティ番組、ドラマなど、芸人としてだけでなく俳優として、また2009年からは監督した映画が高い評価を得る。2025年年始めには、照屋年之としての監督映画『かなさんどー』が公開予定。プライベートでは2児の父。
取材・文/高梨真紀 写真提供/ガレッジセール・ゴリ
高梨真紀