「亡くなった母の遺体に48時間添い寝した」ガレッジセール・ゴリ「幼少期は甘えた記憶がほとんどない」
あの脚本が書けたのは本当に母のおかげ。だから、エンドロールには「照屋エミに捧ぐ」と献辞を載せました。親父と兄貴2人は、劇場で映画を観たときにそれに気づいて号泣したらしくて。試写会後、長男が運転する車で帰宅したときに、親父がポツリと「俺も死んだら洗骨してもらいたいな」って言ったそうです。そしたら長男がすかさず「洗骨はめんどうだから火葬で」って返したらしくて(笑)。実際、父は火葬で見送りました。ごめんな親父。
■「親は完璧」だって決めつけていた ── 来春公開予定の映画『かなさんどー』のキャッチフレーズは「本当の両親のことを知っていますか?」だそうですね。どうしてこの言葉を選んだのでしょうか。 ゴリさん:母が亡くなった後、母が書いた手紙が出てきたんです。それを読んだ親父が「あいつだってこうだったんだ」と暴露話を始めたりして(笑)。まさに、親の知らない顔を垣間見たわけですが、子どもとしては当然、聞きたくないことだってある。特に小さいころって、親のことを勝手に美化しているじゃないですか。「親は完璧な人間」「ちゃんとしてるのが当然」って理想を押しつけていたなと、大人になった今はわかるんですけど。
父ちゃんと母ちゃんだって人間だし、男と女なんですよね。長い人生、生きていたらいろんなことがあったと思うんですよ、きっと。そういうのがいろいろ垣間見えたときに、イヤな気持ちにもなったこともあるけれど、でもそんなのは一瞬で、「父ちゃんと母ちゃんだって人間だもんな」って思ったんです。 来春公開の映画『かなさんどー』は、そういう自分の経験も踏まえて、「本当の両親を知っていますか」とか「許す」というテーマになった気がします。どちらかというと、『洗骨』では母のことを書いて、『かなさんどー』は父のことを書いたのかな。はっきりとは言えないけど、冷静に考えると、主人公がうちの親父に近づいてきているな…と感じます。