[MOM4794]米子北DF熊谷弾(2年)_プロレスラー「レイパロマ」の次男・弾が、流れを変える同点「弾」でチーム救う
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [7.30 総体3回戦 米子北高 2-1 国見高 JヴィレッジP7] 【写真】「いとこがSixTONESジェシー」驚きの告白をしたパリ五輪サッカー日本代表FW スーパーファミリーの血が騒いだ。前半に先制を許した米子北高(鳥取)は、国見高(長崎)の圧力に押し込まれて苦しんでいた。しかし、後半開始からDF登録の小柄な5、熊谷弾(2年)を前線に投入すると、一気に巻き返した。 後半開始早々、右からゴール前に送られたロングパスの軌道を見た熊谷(くまがえ)は「思ったより伸びて(鈴木)颯人君が届かないかと思ったけど、信じようと思った」と先輩の折り返しをゴール前で待つと、右足でゴールへ押し込んだ。 チームを救う同点弾だった。身長167センチと小柄だが、見た目よりも大きな存在感を放った熊谷は「前からのプレスや、ヘディングでボールを前に反らすのが役割。バネがあって、ジャンプも得意。コイツ小さいなと思われるけど、あれ、こいつ、めっちゃ跳ぶぞと思われるタイプ。競り合いも得意です」と笑顔を見せた。 小さくても強い。存在感も大きい。それは、父親譲りの特長だ。父の次郎さんは、レイパロマのリングネームで活躍するプロレスラー。身長161センチと小柄だが、メキシコ仕込みのムーブとコミカルなスタイルで人気を博しており、自ら立ち上げた団体「ダブプロレス」に所属しながら、新日本プロレスや全日本プロレスなどメジャー団体の試合にも参戦。リングで大きな存在感を放っている。 また、4歳上の兄の走は、けん玉のワールドカップに参加するなど活躍中。家族の話を教えてくれた熊谷は「自分で話していても、なかなか、すごい家族ですね」と笑った。父からは格闘技を勧められたこともあるが、団体競技が好きでサッカーを続けている。 今大会では、途中出場で前線を活性化する役割を与えられているが、まだ始めたばかりだ。昨季までは、ボランチ起用が多かったが、サイドハーフやサイドバックも経験。前線での起用は、今季から。中村真吾監督に熊谷の評価をたずねると「小さいけど、ボールを受けられる。受けた後は、まだ何もできませんけど。でも、そこにボールが入れば、相手の背後も取れるようになる。熊谷は、最近まで左サイドバックだったんですけど、プレミアリーグで守備ができなくて、今、ちょっと、クビになっているので、前で使ってみています。身体は強いので」と苦笑いを浮かべていた。 その話を熊谷に伝えると「そうなんですよ。自分は、攻撃の選手のイメージなので。守備では活躍できず、ダメダメでした」と特に落ち込む様子もなく、攻撃役を担う楽しさを感じているようだった。話していても、とにかく明るい。チームにエネルギーを与える役としては、適任だろう。 米子北は、1回戦で東邦高(愛知)を破った後、2回戦で帝京高(東京1)、3回戦で国見と高校サッカー界のビッグネームを撃破。準々決勝でも全国大会の優勝経験が豊富な市立船橋高(千葉)と対戦する。苦戦は、覚悟の上。いかに試合の流れを変え、チャンスの時間帯に点を取り切るかが勝負の分かれ目だ。 小柄ながら、ゲームチェンジャーの役割を担う熊谷は「2回戦は、途中出場したけど、流れを変える選手になれなかった。今日は、絶対に流れを変えてやろうと思っていた。自分には(今は2年生なので)来年もあるけど、来年からじゃなく、今年から点を取って、チームに貢献していきたい。明日も途中から出る選手なりに、チームの雰囲気を変えて活躍したい」と意気込んだ。コミカルなプロレスラーを父に持つ元気印が、全国大会で再び輝くか、楽しみだ。 (取材・文 平野貴也)