課題や粗さはベンチも我慢…ソフトバンク“7割の壁”を破壊したDeNA梶原の俊足 大卒3年目の鋭い成長曲線
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って 日本シリーズ特別編 ◇30日 SMBC日本シリーズ第4戦 ソフトバンク0―5DeNA(みずほペイペイドーム) ◆DeNA・梶原、スライディングキャッチ!【写真】 「7割の壁」をDeNAは2試合続けて破壊した。今季のソフトバンクはホームゲームで49勝21敗2分け、12球団最強の勝率7割を誇っていた。熱狂的な声援も味方につく。なおかつ、今回は故障明けでまだ守備につけず横浜では先発を外れていた近藤が、5番(指名打者)に戻ってくる。それにより、今宮や栗原らも慣れ親しんだ打順に戻る。圧倒的な強さかつ絶対的な自信。そんな強敵を打ち崩し、抑え込み、勝敗をタイに戻した。 オースティンのソロで先制して、宮崎のソロで突き放す。それと同じくらいソフトバンクの継投を崩したのが、6番・梶原のスピードだった。7回、リードを2点差に広げた直後。弱いゴロが遊撃の前に転がった。今宮のランニングスローとの勝負。笠原塁審の両手を広げさせた。 ソフトバンクのリクエストでも、判定は変わらず。佐野の2球目に二盗を試みた。今度は甲斐キャノンとの勝負を制し、好機を広げた。満塁から桑原の2点適時二塁打で勝負あり。アウトをセーフに変えてみせた梶原の俊足が発端だった。 神奈川大からドラフト6位で入団。今季途中から右翼のポジションを奪った3年目は351打席で99安打を打ち、98三振を喫した。7四球という少なさ、規定打席に到達していないのにリーグ4位(245)という空振りの多さ。課題も粗さもあるが、ベンチに我慢して使わせる武器がある。それが大舞台でソフトバンクを攻め落とした。 プロ入りから何でも適応できる選手など、まずいない。梶原でいえば、コンタクト力は今なお実戦で鍛えているところだろう。大卒から3年かけて、日本シリーズで臆せず戦えるレベルまで上がってきた。重圧のかかる全4試合で6安打。野手の層が厚いDeNAに、さらなる成長が期待できる25歳が加わった。
中日スポーツ