物議を醸したフロントウイング

　FIAのシングルシーター部門責任者であるニコラス・トンバジスによると、2024年に物議を醸したにもかかわらず、F1のフロントウイングの検査に変更を加えることはないという。 【ギャラリー】巳年だからヘビのF1……ジョーダン197 　2024年、フェラーリとレッドブルは、マクラーレンとメルセデスを中心とした他チームのフロントウイングの柔軟性について問い合わせたことを受け、FIAはベルギーGP以降各マシンに監視カメラを設置した。 　これは短期的なレギュレーション変更を視野に入れたものではなく、将来のレギュレーション策定で何をすべきかを判断するための事実調査の一環だった。 　その間、FIAはマクラーレンとメルセデスのウイングに問題はないと宣言していた。そうしたチームはフロントウイングの耐荷重テストなどに合格していたからだ。 　トンバジスは、各フロントウイングにかかる負荷の違いから、空力弾性の悪用を取り締まるための一律のテストをFIAが作るのは難しいと説明した。 　motorsport.comの独占インタビューに応じたトンバジスは、「我々が見た結果にはかなり満足している」と語った。 「しかし、常に満足か否かという問題ではないことをお断りしておく。有意義な検査ができると感じられるかどうかの問題でもある」 「フロントウイングにおける課題のひとつは、クルマの他の部分と比較して、フロントウイングに荷重がかかる場所がクルマによって大きく異なることだ」 「そのためほとんどの検査は、一定の方向で一定の位置に一定の大きさの荷重をかけ、一定の変形を生じさせてはならないというものだ」 「このような検査は実際の走行で起こる荷重を可能な限り模倣したもので、たとえば以前のウイングではそれなりに成功している。今のウイングはクルマによって様々な違いがあるのでそれはかなり難しいだろう」 　トンバジスは、2022年に現行のレギュレーションが導入されて以来、フロントウイングの弾性テストに変更はなく、その一環として2025年に向けても変更するつもりはないと付け加えた。 　ライバルチームの動きに抗議をしていたフェラーリは、すでに独自バージョンを開発していると見られており、レッドブルがまだ独自バージョンを開発していないのであれば、ある意味でチャンスでもあると言える。 「明らかに、夏から初秋にかけては大騒ぎになった」とトンバジスは付け加えた。 「我々は少なくとも2022年以降、フロントウイングに関する検査をこれ以上に行なうつもりはないとチームに対して明言していたし、それを守ってきた」