来年高校生になる子どもがいます。児童手当が高校生まで支給されても、扶養控除が縮小されたら手取りは変わらないのでしょうか?
※所得税、住民税の試算において、表中の金額は1000円未満切り捨て。社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料)は協会けんぽの令和6年度保険料表(東京)および厚生労働省の令和6年度雇用保険料率、住民税は東京都の個人住民税を用いて筆者試算 図表3の試算から、現行の扶養控除では、所得税と住民税の合計は約36万1000円となりました。 図表4
図表4の試算から、縮小後の扶養控除では所得税と住民税の合計は約39万6000円となりました。 扶養控除における現行と縮小後の試算結果の差から、扶養控除が縮小されることにより、年収600万円のほうは3万5000円ほど手取りが減る(税負担増)ことが分かります。 一方で、高校生の児童手当の拡充により月1万円、年間で12万円の給付が受けられることになります。そのため家計全体では、12万円から3万5000円を引いた8万5000円程度、手取りが増えることになります。 また、同じ家族構成で、年収を変えて試算してみた結果は、図表5のとおりとなります。 図表5
試算から、所得の低い家庭ほど、児童手当拡充と扶養控除縮小が実施されたときに、家計全体の手取りが多くなることが分かります。 なお、試算では課税所得が4000万円(所得税の速算表上で、最高税率がかかる課税所得。年収にして約4476万円)でも、家計全体では約3万9000円の手取り増となりました。このことから、高校生のいる全家庭においては、児童手当拡充と扶養控除縮小によって、家計全体の手取りは増えることが分かります。
まとめ
扶養控除が縮小されると、増税となることから、手取りが減少します。一方で、児童手当が扶養控除縮小による増税分を上回る形で拡充されることとなります。そのため最終的には、高校生のいる家庭では経済的負担が軽減されることになります。 養育費や教育費にどのくらいのお金をかけるかは、家庭によってさまざまです。税制の変更による家計への影響も把握しながら、養育費・教育費だけでなく、生活費や住居費、レジャーにかけるお金など、家庭の状況に合った収支計画をしっかり立てるようにしましょう。 出典 こども家庭庁 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要 財務省 令和6年度税制改正の大綱の概要 全国健康保険協会 協会けんぽ 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都) 厚生労働省 令和6年度の雇用保険料率について 東京都主税局 個人住民税 国税庁 No.1410 給与所得控除 国税庁 No.2260 所得税の税率 執筆者:小山英斗 CFP(日本FP協会認定会員)
ファイナンシャルフィールド編集部