有村架純さん使用のドラマ台本が転売流出で騒動に 廃棄依頼された人物が勝手に売却法的に問題ないのか
だからこそ、所属事務所も、「現在は、弁護士を通じて当該業者の方に回収を求め、概ね回収できております」と発表しているのだと思われます。 このようなドラマの台本という性質上、仮に処分しようとしたら、有村さんサイドもただ捨てればいいのではなく、第三者の手に渡らないように廃棄することが必要になってきます。 そして、事務所側は「業者の方」に「機密書類」として「廃棄を依頼」と発表しているので、これを前提にすると、法的には、ただゴミとして捨てた、つまり所有権を放棄し台本を男性に渡したというのではなく、台本の所有権は有村さんサイドに留保したまま、あくまで破棄を依頼したと評価することができます。 ここで、業者に破棄を依頼したとなれば、有村さんサイドと出品者との間には、破棄することについての準委任契約が成立していると評価される可能性もあります。民法上は準委任契約は無償でも成立しますが、仮に業者にお金の支払いをしていればより一層準委任契約と評価されやすくなるでしょう。 つまり、有村さんサイドは破棄を依頼したに過ぎず、所有権を放棄したのではないと考えれば、男性にとって台本は「他人の物」になりますので、男性が破棄という委託の趣旨に反してオークションに出品すれば、「他人の物」を横領したと評価され、業務上横領罪に問われる可能性があります。
●仮に所有権を放棄したという状況なら「横領罪」成立しない
他方で、NEWSポストセブン(12月18日)の記事では、「私(出品者)は有村さんのお母さんと、地元が同じで飲み友達でした。古い台本は、有村さんのお母さんが保存していたんだと思います。ある時、有村さんのお母さんから台本の焼却処分を頼まれたんです」とあります。 また、デイリー新潮(12月22日)の記事では「3年ぐらい前に、大掃除で出た不用品を処分してほしいと頼まれ、そのなかに架純さんの台本があった」としています。 これらの記事からは、有村さんの母親が、大掃除で出た不用品をまとめてプライベート的に依頼し、その中に台本も含まれていたというニュアンスも読み取れます。 実際の詳しいやりとりは不明ではありますが、仮に有村さんの母親が捨てた、つまり所有権を放棄したといえるような状況であれば、もはや男性にとって台本は「他人の物」ではなくなるので業務上横領罪は成立しません。 また、デイリー新潮の記事では、「51万円は架純さんの事務所社長に借りて返金しました」とあります。台本を売却した男性が得た利益は既に返却しているので、もし業務上横領が成立すると判断され、男性が罪を争わないという状況になったとしても、起訴猶予になるのではないかと思われます。
【取材協力弁護士】 河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士 「レイ法律事務所」、芸能・エンターテイメント分野の統括パートナー。多数の芸能トラブル案件を扱うとともに著作権、商標権等の知的財産分野に詳しい。日本エンターテイナーライツ協会(ERA)共同代表理事。「清く楽しく美しい推し活~推しから愛される術(東京法令出版)」著者。 事務所名:レイ法律事務所 事務所URL:https://rei-law.com/