「家には簡単に人を招きません」北欧流豊かな住空間のつくり方を家具デザイナーが語る
家は、自分だけの大切な場所
たくさんの家具や日用品をデザインしてきたセシリエ・マンツと話をするなかで、気になるのは彼女自身がどのような空間で暮らしているかということ。 「好きなものだけに囲まれて暮らしています。自分がデザインしたものは試作も含み、自宅で使い心地を日々チェック。主人には、『もうデザインしたものを、家にもち込まないでよ』とまでいわれていますが、『ワークショップチェア』もリビングルームの片隅で私たち家族を見守っています。 でも、実はこれまでに雑誌やメディアで自宅を紹介したことはないんです。どれほど親しい間柄でも、家に簡単に招くことはしません。だって、家は私と私の家族だけの空間だから。誰にも邪魔されず、安心して心を解放したい“秘密基地”なんです。これは私に限ったことではなく、デンマーク人の気質かもしれません。それほど家は大切な場所。だからインテリアや自身がもつものすべてに意識を巡らせているんだと思います」 自分のため空間だからこそ、身のまわりを囲むオブジェ一つひとつに気持ちを配り、大切に守り育てる。そんな感覚こそ、豊かな居住スペースをつくるヒントになるのだと、セシリエはそっと教えてくれました。