逃亡中のカルロス・ゴーン被告が“古巣”日産ぶった斬り!ホンダとの経営統合「意味がない」の説得力
狙いすましたタイミングなのか。日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告が23日、日本外国特派員協会(FCCJ)で会見。逃亡先のレバノンからオンラインで開催した。 【写真】中国BYDは長澤まさみを起用 CMにも勢いの差? くしくも、日産とホンダが経営統合に向けて本格的な協議に入ったと共同会見で発表したのも23日だ。売上高30兆円、営業利益3兆円を目指し、2026年8月に持ち株会社を上場する計画を打ち出した。実現すれば、世界3位の販売規模を誇る巨大自動車グループが誕生する。 当然、ゴーン会見はくだんの経営統合に質問が集中。ゴーン氏は評価を聞かれ、「ディープな情報を知る立場にない」としつつも、古巣に厳しい意見を浴びせた。 「日産の自動車販売台数は18年から40%も減少し、今や実質的な利益はゼロと言っても過言ではない。ビジョンすらないように見える。他の企業の力に頼ることはすなわち、自分たちで何もできなくなるということ。この状況は極めて悲しい」 そして「経営統合は実現してもうまくいかない」とぶった斬り、次のように理由を説明した。 「日産とホンダの間には補完性がない。どちらも日本企業で、強みも弱みも同じ分野にある。両社とも高い技術を持っているが、あらゆる分野での重複が避けられない。私に言わせれば(統合は)意味がない」 ■人質司法を批判 ゴーン氏は18年に逮捕、会社法違反(特別背任)などの罪で起訴され、保釈中の19年12月にレバノンへ逃亡。「犯罪者」に仕立て上げられたという意識なのか、「ここ5~6年に日産が直面している問題は、政治や陰謀、内争が支配し、ビジネスの本質を見失ったことだ」と、古巣への“怨嗟”が言葉の端々に漂っていた。 かねて批判してきた日本の司法制度にも言及し、「変えて欲しい」と注文。冤罪事件で約50年にわたり拘束された袴田巌さんに触れて「胸が痛む」と語り、こう続けた。 「日本で多くの人が人質司法に直面し、声を上げられず、サポートもなく検察の命令に従うことを余儀なくされている。(日産COOに就任した)1999年より前に、このような事態が起きていたら、絶対に日本での仕事を引き受けなかった」 強大な検察権力は確かに問題だが、司法判断を受けずに逃亡した事実は重い。 このタイミングで会見した理由については結局、「取材を申し込んできた人との友情」「FCCJへのリスペクト」と述べるにとどめた。 ◇ ◇ ◇ 日産は北米、中国市場での不振が響き、9月中間決算で連結営業利益が前年同期比90%減という惨状。崖っぷちの日産にホンダが救いの手を差し伸べた形だが、果たして、経営統合はうまくいくのか。●関連記事【もっと読む】『ホンダが“崖っぷち”日産に救いの手…日本自動車メーカーの“弱者連合”は成功するのか』で詳しく報じている。