「そりゃ太るわ…」満腹信号を無視してしまう人の残念な共通点
会食や忘年会、クリスマスや年越し、正月の集まりなど、食事の管理が難しい年末年始。食べ過ぎ、体重増加が気になる人にぜひ読んでほしい1冊が『英国の専門医が教える 減量の方程式』だ。 著者はオックスフォード大学医学部を首席卒業後、食欲や体重管理の研究でイギリスを代表する減量専門医のサイラ・ハミード氏。イギリスで深刻化する肥満人口増加を食い止めるべく、「フル・ダイエット」と呼ばれる減量プログラムを考案。参加者たちは平均16キロ減量、糖尿病の改善、血圧低下など、科学的にめざましい効果が実証された。 ついに刊行される日本語版の本書から、一部を抜粋して特別にお届けする。 ● 私たちの身体に備えられた、素晴らしい信号 脳腸間の「空腹-満腹」のコミュニケーションシステムは、体内のホルモンによってコントロールされています。 ホルモンは、身体のある部分から別の部分に重要な情報を伝える、テキストメッセージのようなものだと見なせます。 私たちがしばらく何も食べていないと、胃は「グレリン」と呼ばれる空腹ホルモンの信号を出します。グレリンは脳に「しばらく燃料が入ってきていないよ。お腹が空いた。食べ物を探して」と伝えます。 この脳と腸のコミュニケーションの結果、私たちは空腹を感じるのです。何かを食べると、胃がグレリンの空腹メッセージを出さなくなるので、食べる前にあった空腹感は薄れていきます。 ただし、グレリンによる空腹の信号を弱めるだけでは、食欲は止められません。そのため腸は、食事が進むにつれて別のホルモンを分泌して、脳に満腹感を伝えるメッセージを発信します。 これらの満腹ホルモン(「グルカゴン様ペプチド-1」「ペプチドYY3-36」「オキシントモジュリン」と呼ばれる)は、脳に「食べ物が充分に入ってきたので、もう食べるのをやめてもいいよ」と伝えます。私たちはこのメッセージを受け取り、「もうお腹がいっぱいだ」「食べるのをやめよう」と判断するのです。 ● 満腹感を覚えるまで、20分間待つ メールのテキストメッセージは、送信したら瞬時に受信者に届きます。 しかし食後に腸が出した満腹ホルモンのメッセージは、脳が「もう充分食べたから、これ以上食べなくてもいいよ」という情報として受け取るまでには、約20分間かかるのです。 賢いレストランはこの仕組みを知っていて、客がメインコースを食べ終わったらすぐに、デザートメニューをすすめてきます。客は思わず、プリンを注文してしまうというわけです。 一方、サービスが遅いレストランでは、客がメインを食べ終わって20分以上経ってから、ようやく「他に何か召し上がりますか?」と尋ねてきたりします。満腹感を味わっている客は、「結構です」と断るのではないでしょうか。こうして、店はチャンスを逃してしまうというわけです。 食べ過ぎないためには、食べ終えてから20分間、ひとまず時間を空けてみてもいいでしょう。このあいだに、満腹信号が腸から脳へと伝わるからです。 スマートフォンのタイマーで時間を計り、20分経ってもまだ満腹感が強くなければ、そのまま食べ続けます。 満腹信号が「もう充分だ」と言っているなら、そこで食事を終わりにしましょう。 (本稿は、『英国の専門医が教える 減量の方程式』を一部抜粋・編集したものです)
サイラ・ハミード/児島 修