欧州ソブリン債危機の連想も-フランス債、外国勢が50%保有とIMF
(ブルームバーグ): フランスの当局者は適切な財政運営を印象付け、外国投資家を安心させる必要があり、さもなければ国債スプレッドが再び急拡大する危険がある。アリアンツ・グローバル・インベスターズのマルチアセット最高投資責任者(CIO)、グレーゴル・ヒルト氏が警告した。
ヒルト氏によれば、フランス国債の外国投資家による保有比率は他の国よりはるかに大きく、今の政治的混乱が10年余り前に匹敵する欧州債務危機を引き起こしかねないと不安視する見方もある。
「欧州のソブリン債危機を連想させるもの何であれ、多くの国際投資家にとって赤信号だ。フランス政府は何らかのアクションで安定を図り、これら大口投資家を安心させる必要がある」とヒルト氏は指摘する。
左右どちらの陣営が勝っても、既に赤字が膨らむフランスの財政状況が悪化するという懸念が市場を動揺させ、フランス国債の売りを誘った。フランス10年国債のドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は21日に前回債務危機の最悪期以降で最も拡大した。
国際通貨基金(IMF)によれば、フランス市場に外国投資家が占める割合は2023年時点で約50%と、米英とイタリアの約30%を大きく上回る。
フランスの国民議会(下院)選は今月30日に第1回投票が行われる。ユーロ圏の経済データが最近上向いているにもかかわらず、米ドルのユーロに対するオーバーウエートポジションをヒルト氏は維持し、地政学的混乱に備える盾として金に注目している。
フランス売りに伴うユーロ圏のスプレッド拡大は、フランス債が買いの好機になるほどリターンの向上をもたらさず、「フランスにとってのリスクは、国債スプレッドの拡大が続く危険だ」とヒルト氏は分析した。
原題:Allianz Says French Bondholders Fear a Replay of Euro Crisis(抜粋)
--取材協力:Alice Gledhill.
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Alice Atkins