昭和の風情を今でも感じる一軒、上野駅「北畔」 かつての〝東北の玄関口〟で懐かしの故郷・青森の味を堪能
【鉄ドル・伊藤桃 “ぐう渋”居酒屋の旅】 かつて上野は東北の玄関口だった―。そんな昭和の風情を今でも感じる一軒が、上野駅中央改札から徒歩3分ほどにある、昭和34年創業の「北畔(ほくはん)」さん。NHK「きょうの料理」で35年間講師を務めた料理研究家の阿部なをさんが、この玄関口で故郷・青森の味を振る舞いたいと開業したそう。 中に入ると、手前にカウンターとテーブル席があり、奥にお座敷がありました。今回はお座敷へ。お座敷の衝立をみてびっくり、なんと棟方志功ではないですか。青森市出身の棟方志功と阿部なをさんが生前のご縁があってとのこと。 お通しはじゃっぱ汁、日本酒は「田酒」だけでなく「桃川」に「じょっぱり」と、私の〝故郷の味〟が並び思わずにんまり。もちろん、ここは日本酒で。2合で950円からとお値段もありがたい。お料理はボリュームたっぷりな刺し身の盛り合わせと、これまた私にとっては懐かしいアテが6種類も並ぶ「酒肴の盆」、そして季節のメニューから脂ののった秋刀魚を注文。 お味がおいしいのはもちろん、その居心地のよさも魅力。繁忙期限定で手伝いに来るという店員さんは、明るく心地の良い接客で、お酌もしつついろいろなお話を教えてくれました。冬季限定の白子をたっぷりと使った津軽雪鍋が人気だそうで、次はぜひそちらもいただきたい。 上野にて、故郷・青森に思いをはせた夜でした。 「北畔(ほくはん)」は東京都台東区上野6の7の10(03・3831・8759)。 ■伊藤桃(いとう・もも) 鉄道アイドル、タレント。3月11日生まれ、青森県出身。青山学院大学文学部卒業。JR全線完乗した乗り鉄。渋い居酒屋めぐりも趣味。FM狛江「伊藤桃の小田急全駅ものがたり」(毎月第3、5日曜)に出演。ヴィレッジヴァンガードサイトでコラム連載中。著書に「小田急全駅ものがたり」「桃のふわり鉄道旅」。頑張る居酒屋をインスタグラムでも応援中だ。