トランプ氏、報道席を銃弾が貫いても「気にしない」 軽率な暴力への言及相次ぐ
米大統領選(5日投開票)の共和党候補、トランプ前大統領は3日、東部ペンシルベニア州で演説した際、防弾ガラスの設置状況に不満を述べる過程で「私を狙うには、フェイクニュース(報道席)を貫くように撃たなければならない。そうなっても、私はそんなに気にかけない」と述べた。 【図解でわかる】歴代の米大統領、人気なのは誰? 10月末には政敵である元連邦下院議員の対外強硬姿勢を批判する際に「小銃の標的にして、彼女がどう感じるか見てみようじゃないか」と述べており、選挙戦終盤で軽率に暴力に触れる言動が相次いでいる。 トランプ氏は7月に銃撃事件で耳を負傷。屋外で演説する際には防弾ガラスで演壇を覆う措置がとられている。3日の演説では「ここには防弾ガラスがあるが、そこにはない」と述べ、隙間(すきま)があることに不満を示した。さらに正面のガラスについて「この方向にはフェイクニュースしかいない」と指摘し、報道陣の席を通過するように銃撃される事態になっても「気にかけない」と述べた。ガラスの厚さについて「テレビ映りが悪くなる」との不平も述べた。 トランプ氏の集会では、メディア席を設けて広報に利用する一方で、演説では「フェイクニュース」とののしることで「ヒール役」を演じさせるのが定番になっている。今回の発言もそうした「演出」の延長線上だが、ハリス陣営は「トランプ氏は負けるのを心配して、怒り、不安定になっている。今回の発言は、憂慮すべき言動の一部だ」と批判した。 トランプ陣営の広報担当者は声明で「トランプ氏の発言は、メディアに危害が及ぶといったこととは関係がなく、トランプ氏に向けられる脅威について語っただけだ。他に解釈はない」と釈明した。【ワシントン秋山信一】