万博好機に国際会議、企業・自治体で誘致加速…開催数「116位」の大阪は「20位以内」へ引き上げ目標
来年4月に開幕する大阪・関西万博に合わせ、「MICE（マイス）」と呼ばれる国際的な会議や展示会を関西に誘致しようとする動きが加速している。地域への経済効果が大きいとされるMICEは、世界中で誘致競争が激化しており、企業や自治体は海外からの注目度が高まる万博を好機として生かしたい考えだ。（佐藤一輝） 【図表】2023年の国際会議の都市別開催実績ランキング
MICEに関わる企業や団体を集めた展示会「ジャパンMICEエキスポ」が17日、インテックス大阪（大阪市住之江区）で始まった。ホテルや旅行会社、自治体、観光協会など約120社・団体が出展し、アジア各国から訪れた展示会の主催者らと商談を重ねた。万博を見据えて初めて開催され、18日までの期間中、約4000人が来場する見込みという。
ホテルニューオータニ大阪は、関西最大級となる約2400平方メートルの宴会場や都心に近い立地をPRした。担当者は「万博で関心が高まっていることもあり、海外から『会議に使いたい』という問い合わせが増えている」と話す。
万博はMICE誘致の追い風となっている。大阪観光局は万博会期中の来年6月、世界最大級の医療展示会の誘致を実現した。国内外から医師や研究者ら約3万人が大阪市内に集まる見通しだ。
MICEは一般的な観光よりも滞在期間が長くなる傾向があり、経済効果が大きいとされる。世界の各都市が誘致に力を入れており、ICCA（国際会議協会）によると、2023年の国際会議の開催件数はパリがトップだった。関西では52位の京都が最高で、大阪は116位、神戸も184位にとどまった。
要因の一つが「認知度の低さ」（自治体関係者）だ。海外から注目される万博は「関西の魅力を世界に発信する好機となる」（大阪府の担当者）ことから、MICEの誘致に取り組む動きが広がっている。
大阪府泉佐野市は今年度、歴史的建造物を含む市内の施設で会議を開いた場合、会場使用料の半額を補助する制度を設けた。ビジネスチャンスとみる企業も多く、JR東海は会場への移動手段として、新幹線を車両ごと貸し切り利用できるプランを用意している。
