調整不足、右手指の負傷を抱えながらもフェンシング・パリ五輪銅メダリスト上野優佳が全日本選手権出場を決めた理由
◆フェンシング 全日本選手権個人戦(14日、静岡・沼津市総合体育館) 連覇を目指した、パリ五輪の女子フルーレ団体銅メダルメンバーの上野優佳(エア・ウォーター)=大分県別府市出身=は準々決勝で敗れた。 ■リオ五輪金メダリストが大胆イメチェン【写真】 フランスから帰国した後は「うれしい多忙」という極めてせわしい日々を過ごした一方で、練習時間を確保することは困難だったという。「体力不足も技術不足も感じました」。加えて右手小指に痛みを抱えた状態で、本来の動きを見せることはできなかった。 パリ五輪で日本フェンシングチームは金2、銀1、銅メダル2個の計5個を獲得するなど大躍進を遂げた。一躍注目度も上がった中で、負傷を抱えながらも全日本選手権出場を決めた背景には、花の都の盛り上がりを未来につなげたい思いからだ。 上野は「フェンシングが注目してくれることはものすごくうれしい。注目されることによって、小さい子たちが競技を始めてくれたらうれしい気持ちがある」と言う。だからこそ、万全ではない中でも「メダリストとしていろんな方が注目してくれる最初の大会。全日本だけでもいろんな方に見ていただきたいと思った。体力は万全ではなかったんですけど、出ようと決めた」と明かした。 根底には日本のトップ選手としての危機感もある。「まだまだフェンシングはメジャーのスポーツではない。ここから自分たちがどういう行動していくかによって、広まっていくか、止まってしまうかが決まる。周りに広げながらも、しっかり自分も強くなっていかなきゃなっていう風に思います」と高い意識で未来を見据え、4年後のロサンゼルス五輪に向かっていく。
西日本新聞社