『クレイヴン・ザ・ハンター』監督、R指定で求めたのはリアリティー「暴力描写を増やそうということではない」
ソニー・ピクチャーズ製作のマーベル新作映画『クレイヴン・ザ・ハンター』(全国公開中)のメガホンを取ったJ・C・チャンダー監督がリモートインタビューに応じ、R指定で製作された本作の狙いついて語った。 【画像】腹筋ヤバすぎ!主演のアーロン・テイラー=ジョンソン クレイヴン・ザ・ハンターことセルゲイ・クラヴィノフ(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、原作コミックでスパイダーマンの宿敵として描かれた最強ハンター。百獣の王の力を宿し、金もうけのために動物を殺める人間たちを狩りの対象にするようになったセルゲイは、巨大な裏組織へと近づき、縁を切っていた父親と相対する。
独自の『スパイダーマン』ユニバースを展開するソニーは、『ヴェノム』『モービウス』『マダム・ウェブ』とさまざま単独作品を製作してきたが、R指定映画は本作が初となる。R指定で製作する機会を手にしたチャンダー監督は、「油断できないと思いました」と当時を振り返る。
R指定になったことで過激なバイオレンス描写も容赦なく盛り込むことができるが、チャンダー監督は「R指定で製作できるからといって、暴力などのゴア描写をもっと増やそうということではありませんでした」と説明する。本作で求めたのは、クレイヴンと彼を取り巻く者たちのリアルなオリジンストーリーだったという。
「R指定にしたことで、よりスタイリッシュで、グラインドハウス映画の雰囲気が漂う方向性にしてくれました。私にとってより重要だったのは、自ら制裁を加えるクレイヴンをより深掘りできること。ストーリーテラーとして、原作でおなじみの姿に至るまでのオリジンストーリーを、今までできなかった方法で語ることができたのです」
本作で抜群の存在感を放つのは、クレイヴンの父であるニコライ役を務めたラッセル・クロウだ。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)にも参加しているラッセルは、裏社会で強大な力を持つ冷酷な殺戮者という役柄に挑んだ。チャンダー監督は、ラッセルの起用について「彼がクレイヴンの父親役に最も適していると思いキャスティングしました。映画を観てもらえれば、その理由がわかるはずです」と語り、本作における暴力の意味を理解する上で、「とても重要な役」になっていると明かす。
ちなみに、本作でやむなくカットされた暴力シーンはなかったとのこと。「物語にフィットしなかったシナリオはありましたが、削除されたバイオレンスはありません。私たちはなぜこの映画を撮るのか、細心の注意を払って製作していました」と自身たっぷりに語っていた。(編集部・倉本拓弥)