U-18日本代表が「一番難しい試合」静岡ユース戦をPK戦勝利。SBS杯逆転優勝をかけ、アルゼンチンとの最終決戦へ
[8.23 SBS杯 静岡ユース0-0(PK3-5)U-18日本代表 愛鷹] U-18日本代表がPK戦勝利、アルゼンチンとの“優勝決定戦”へ――。23日、「2024 SBSカップ国際ユースサッカー」2日目が静岡県沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場で行われ、静岡ユース(静岡県選抜)とU-18日本代表が対戦。0-0で突入したPK戦の末、U-18日本代表が5-3で勝利した。勝ち点3のU-18日本代表は25日の最終戦で同5の首位・U-18アルゼンチン代表と対戦。80分間で勝てば、2013年大会以来の優勝が決まる。 【写真】「可愛すぎて悶絶」「金メダル」「新しいジャケ写かと」大物歌手が日本代表ユニ姿を披露 日本は0-0で引き分けたU-18韓国代表との初戦(22日)から先発7人を変更。GK上林大誠(山形)、右SB柴田翔太郎(川崎F U-18)、CB山田海斗(神戸U-18)、ゲーム主将のCB土屋櫂大(川崎F U-18)、左SB池間叶(名古屋U-18)、永野修都(FC東京U-18)と嶋本悠大(大津高)のダブルボランチ、右SH南創太(日章学園高)、左SH天野悠斗(G大阪ユース)、そして安野匠(帝京長岡高)とワッド・モハメッド・サディキ(柏U-18)が2トップを組んだ。 一方、静岡ユースは初戦でU-18アルゼンチン代表に0-1で敗戦。こちらも先発5人を入れ替え、GK戸塚陸(浜松開誠館高)、右SB小澤有悟(磐田U-18)、CB渥美慶大(磐田U-18)、CB桶川陸(富士市立高)、左SB岩田琉唯(静岡学園高)、矢田龍之介(清水ユース)と堀川隼(静岡学園高)のダブルボランチ、トップ下が川合徳孟(磐田U-18)、右SH土居佑至(清水ユース)、左SH小竹知恩(清水ユース)、1トップの湯山大輔(藤枝東高)の11人が先発した。小澤、矢田、川合、土肥、小竹は年代別日本代表歴の持ち主。内藤康貴監督(浜名高)から「『我々が代表なんだ』っていうぐらいのつもりで臨むように」と送り出された選手たちが、互角の戦いを演じた。 U-18日本代表は前半4分、敵陣でボールを奪い返すと、南のスルーパスで天野が右中間を抜け出し、マイナスのラストパス。これをワッドが右足ダイレクトで狙う。11分には嶋本の展開から右タッチライン際の南が左足クロスを上げ、ゴール前に安野が飛び込んだ。 対する静岡ユースは桶川らDFラインと、低い位置へ落ちてボールに係わる堀川からビルドアップをスタート。狭い局面でも怯まずに縦へのショートパスをつけるなど、ボールを保持しながら主導権を握ろうとする。中盤で存在感を放った矢田や川合、土肥がチャンスを創出。17分には矢田がドリブルで相手のプレスを剥がすと、土肥、小澤、矢田とテンポ良くボールを動かし、最後は川合とのワンツーで土肥が右サイドを抜け出してラストパスを狙った。 U-18日本代表は19分、池間から斜めのパスが中央へ入り、安野が左足ダイレクトのミドルシュート。静岡ユースは直後に中央突破した川合が左サイドへ展開し、小竹が相手GK、DFラインの間へ鋭いクロスを入れる。また、川合や湯山がDF背後への抜け出しを狙ったが、U-18日本代表はその攻撃を山田と土屋が対応してブロック。静岡ユースも渥美が相手の侵入を2度3度と阻止したほか、桶川や岩田、小澤とともに集中力の高い守りを見せ、U-18日本代表にセットプレーの機会も与えない。 U-18日本代表は0-0の後半開始から池間と南を左SB布施克真(日大藤沢高)、右SH大谷湊斗(昌平高)へ交代。2分には左サイドで嶋本が1タッチパスをDF間へ通し、天野のスルーパスから安野がスライディングシュートを狙う。静岡ユースも7分、左の小竹がスピードに乗ったドリブルで大きく前進。クロスのこぼれを土肥が右足で狙うが枠を外れた。 U-18日本代表は後半、嶋本や永野、大谷がボールに係わる回数を増加。右SB柴田と左SB布施が高い位置へ侵攻するなど、相手を押し返す。12分にワッドをFW神代慶人(熊本)と入れ替えた直後には永野の斜めのパスが右の大谷へ通り、中への動きから左足シュート。土屋、山田も積極的に前へボールを運ぶと、15分には大谷の展開から柴田がグラウンダーのクロスを入れる。これに安野が飛び込んでネットを揺らしたが、惜しくもオフサイド。U-18日本代表は、17分にもCKの流れから嶋本が柔らかい浮き球クロス。これを神代が頭で合わせるが、静岡ユースGK戸塚が手に当て、クロスバーを弾いた。 U-18日本代表の船越優蔵監督はこの試合へ向け、「一番難しい試合になるっていう話をしまして、挑みました」と説明する。年代別代表に近い選手の多い静岡ユースの“打倒・代表”への気迫は非常に強く、毎年のように健闘。この日も難しい試合になったが、上林が「(代表選手として)選ばれた自分たちが静岡ユースたちよりも走って戦えば必ず自分たちは勝てると思って臨んだ」というように、代表のプライドを持って走り、戦ったチームは後半にチャンスの数を増やし、重圧のかかる展開にも崩れなかった。 静岡ユースは12分に土居、小竹、湯山をFW山崎絢心(富士市立高)、MF加藤佑基(静岡学園高)、FW山本将太(磐田U-18)へスイッチ。18分には岩田と左SB後藤翔吾(磐田U-18)を入れ替えた。20分には途中出場で脅威となった山崎が、連続の切り返しで右サイドを突破。折り返しから、矢田の右足ダイレクトシュートがゴール右上隅を捉える。だが、U-18日本代表GK上林が抜群の反応ではじき出した。 U-18日本代表は25分に永野とMF山本丈偉(東京V)を交代。その山本のシュートやサイド攻撃でプレッシャーをかけるが、静岡ユースは終盤に投入されたCB窪田佑介(浜松開誠館高)を含めて跳ね返し、得点を許さない。また、堀川や矢田が個の力でもボールを前進させる静岡ユースは35分、左SB後藤との連係から加藤が中へ持ち込んで右足を一閃。GK頭上を突いたが、これもU-18日本代表GK上林がセーブする。後半もスコアが動かないまま終了。勝敗の行方はPK戦に委ねられた。 PK戦先攻のU-18日本代表は1人目の神代から大谷、柴田と成功し、静岡ユースも山本、試合終盤から出場のMF森力介(磐田U-18)、後藤が決め返す。迎えた4人目、U-18日本代表FW安野が左へ決めたのに対し、静岡ユースは攻守で奮闘した桶川の右足シュートが左ポストを弾いて枠外へ。直後にU-18日本代表の5人目、布施が右足シュートを左上へ決めて決着をつけた。 U-18日本代表はこれまで以上に緊張感を持って、意識高く準備しているというPK戦で勝ち切り、アルゼンチンとの“優勝決定戦”へ。船越監督は「もう、こんないいチャンスはないっていうか。80分以内に勝てば優勝、しかもアルゼンチンっていう。こんな状況ってなかなか味わえないので、まずこれを楽しみたいなというところが1番です。その中で、選手が本当にいきいきと躍動してくれるっていうところしかないので、今、自分たちの現在地を知るために、100パーセント力を発揮できるように、僕ら(スタッフ)がサポートするだけかなと思います」と語った。今回の静岡合宿でU-18日本代表が掲げているテーマは優勝と、U-19日本代表への「個人昇格」。強敵を上回り、優勝して「個人昇格」のチャンスを勝ち取る。