年金手取り「月20万円」はどれほど大変か、現役時代に必要な驚きの年収額とは…不足分を補う6つの方法
■ 公的年金の不足を補う6つの方法 65歳から年金を手取りで月20万円もらうことは難しいものの、老後の収入を増やす手立てはたくさんあります。公的年金の不足を補う方法を6つ紹介します。 【公的年金の不足を補う方法(1)】長く働いて勤労収入を得る 定年は60歳、65歳と引き上げられ、今や企業には70歳まで働ける機会を確保することが努力義務となっています。70歳を超えて働く人も現に増えています。 60歳以降は再雇用などで年収が減る現実はありますが、働いて勤労収入を得ていれば、そのお金を生活費に回したり、老後のために貯めたりできます。後述する「年金の繰り下げ受給」がしやすくなります。 働くと健康促進につながり、その結果医療費・介護費を抑えられ、社会との関わりを持つことでいきいきと生活できるでしょう。 【公的年金の不足を補う方法(2)】70歳まで厚生年金に加入する 厚生年金は70歳まで加入できます。厚生年金に加入しながら働くことで、受け取れる年金も増えます。たとえば、年収300万円で65~70歳までの間、5年間厚生年金に加入して働くと、公的年金が年約8.6万円増える計算です。 【公的年金の不足を補う方法(3)】国民年金に任意加入する 国民年金の加入は20歳~60歳の40年間ですが、「学生時代の 国民年金保険料を支払い漏れしている」「経済的に厳しかった」などの理由で、未納期間があると、老齢基礎年金の金額が減ります。 未納期間があるならば、60歳から65歳までの間に、国民年金に任意加入することで、加入期間を増やして将来の老齢基礎年金を増やすことができます。加入期間を1年増やすと、老齢基礎年金が年2万円程度増えます。 【公的年金の不足を補う方法(4)】年金の繰り下げ受給をする 年金の受け取りは原則65歳からですが、66歳以降に遅らせることができます。これを年金の繰り下げ受給といいます。1カ月受け取りを遅らせることで年金額は0.7%増額。75歳まで繰り下げることで最大で84%年金額面が増えます。 65歳から年金額面が月15万円受給できる場合、75歳まで繰り下げ受給をすれば年金額面は月27.6万円に増えます。 【公的年金の不足を補う方法(5)】iDeCoを利用する iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、自分で出した掛金を自ら選んだ商品で運用し、老後(原則60歳以降)にその成果を受け取るしくみです。iDeCoでは、掛金が全額所得控除になるため、毎年の所得税や住民税を安くできます。そのうえ、運用で得られた利益にかかる税金が非課税にできます。さらに、一時金・年金として受け取るときにも税制優遇が受けられます。老齢年金の上乗せとなるお金を用意するのに向いている制度です。 【公的年金の不足を補う方法(6)】新NISAを利用する NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)は投資で得られた利益にかかる税金を非課税にできる制度です。新NISAでは、積立投資専用の「つみたて投資枠」と、積立投資だけでなく一括投資もできる「成長投資枠」の2つを使って非課税の投資ができます。 新NISAは一生涯非課税で投資できるので、資産寿命を伸ばしながらお金を引き出せるというメリットがあります。 年金を増やす方法は、年収を上げることだけではありません。厚生年金保険の加入期間を延ばす、年金の繰り下げ受給、国民年金の任意加入などがあります。iDeCoやNISAなどを活用した資産形成もあります。 老後に手取りで月20万円の収入を得たいならば、利用できるよう手立てしましょう。
頼藤 太希