N-BOXにスペーシア10年間のデータ分析で浮き彫り「軽自動車」の勢力変化
この第1段階では、ホンダ「フィット」や日産「マーチ」といったコンパクトカーからの乗り換えが一定数見られたため、「軽自動車からの乗り換え」の割合は今ほど高くなかったのだ。 それが3年5年……と経つうちに、「N-BOXからN-BOX」「N-BOXからルークス」といった、軽スーパーハイトワゴン内での乗り換えや比較検討が激しくなる。これが第2段階といえる。 そして現在は、第3段階にある。同一車種内での乗り換えも多く、ある程度ユーザーのすみ分けが完了した段階だ。
どの車種も、ユーザー視点での期待値を十分に超える性能/装備を持つため、乗り慣れた車種(あるいはメーカー)で乗り換えたいという保守的な気持ちもあるかもしれない。 実際に「購入しようと考えたきっかけ」の回答を多い順に並べると、2022-2023年のN-BOX購入者では次のような結果になった。 1位:営業スタッフの話を聞いて 2位:ショールーム・展示場でクルマを見て 3位:街を走っているクルマを見て 4位:前にも同じクルマに乗っていた
5位:メーカーの公式ホームページを見て 「前にも同じクルマに乗っていた」が、購入のきっかけに影響を及ぼしていることがわかる。 ■ダウンサイジングでも下がらぬ車両価格 これまで見てきたように、全体的な傾向として日本人の買うクルマは小さくなり、軽自動車がよく売れる状態が続いている。一方で新車価格に目を向けるとどうだろうか。 今回、取り上げたN-BOX、スペーシア、タント、ルークスの4車種の「値引き前車両本体+オプション価格」の時系列データを次に示す。
4車種とも、2014~2015年の平均購入価格は180万円程度であったのに対し、2022~2023年では200万円オーバーであり、N-BOXは225万円、ルークスは239万円にもなっている。平均購入価格が年々、上昇していることは明らかで、「クルマの値段は上がり続けている」と言えよう。 たしかに、各種機能や安全装備は、充実の一途をたどっている。衝突時の安全性はもちろん、衝突を回避する予防安全技術も高まっており、運転者や同乗者だけでなく歩行者を守る点でもその意義は大きい。