【中後監督・中田FD就任「新・鹿島」の現在地(1)】鈴木優磨・左MF起用の福岡戦は不発。「思った以上に前半は機能しなかった」と選手が振り返る、膠着状態の攻撃をどう活性化していくのか
■新スタイルを実践する難しさ
このようにさまざまなチャレンジを繰り返した結果、最終的には樋口と関川郁万が1本ずつシュートを放ったが、後半もその2本のみでタイムアップの笛。守備の方は安定感を増したものの、攻撃の推進力や迫力が感じられない内容に終わり、スコアレスドローが御の字と言っても過言ではなかっただろう。 「思った以上に右で深い位置を取れなかったっていうのが練習との大きな違いですね。練習だとトップ下の名古が流れて、それに相手がついていくかどうかという問題があったんだけど、その前段階として右サイドで植田(直通)君、ヒデ(須貝)、藤井のところでノッキングしてた部分があった。 きついボールが何個か連鎖しちゃうと前線で受ける選手は難しくなる。もうちょい間や中盤の選手を使いながらタテパス入れて背後という部分が足りなかった。もしくは、左からドリブルで押し込んで右を取る動きがあってもよかった。全員の反省点ですね」と鈴木優磨は新スタイルを実践する難しさを痛感した様子だった。 現状では指導経験の長い羽田コーチが戦術的なディテールを選手に伝えているという。羽田コーチはご存じの通り、大岩剛監督の下でパリ五輪代表コーチを務めており、厳しい要求を突きつけられる人材だ。それは鈴木優磨や植田直通ら年長者にとって、いい刺激になっているようだ。 「ハネさんはすごい僕に求めてきますし、ハッパもかけられている。もっともっと(自分たち)上の選手が見せていかないと下はついてこない。自分がもう1つ上がれるチャンス」と鈴木優磨は前向きに語っていた。 そんなポジティブなムードが生まれた点はプラス要素。それを追い風にして、鹿島は残り5試合でいかにして点を取れる形を構築していくのか…。今の彼らはJ1制覇は難しいにしても、ACL圏内はまだ手が届く。それを死守するためにも、ここからギアを上げていくしかない。 (取材・文/元川悦子) (後編へ続く)
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