「幸せにしたい」と引き取ったはずが、義母との別れに落ち込む私を支えてくれた 家族の絆の大切さを教えてくれた保護猫たち
喜んでくれた義母
ジェームスくんとスティーブくんは、名前を改めます。はるばる沖縄から「航海」して大阪まで来てくれたというので、ジェームスくんを「航(コウ)」スティーブくんを「海(カイ)」と名付けました。 Mさんは義母に報告します。義母も喜んでくれ、いつか会いたいねとも言ってくれました。 この「いつか」は思わぬ時に訪れました。2023年の春、義母の病気が発覚。この時、義父はまだ存命であるものの施設に入所しており、義母は一人暮らし。Mさんは義母の身を案じ、大阪に迎えることにしました。 義母は初めて会う航くんと海くんも可愛がってくれました。「コウちゃん、カイちゃん」と優しく声をかけ、ふんわり撫でる。航くんと海くんも嬉しそう。 Mさんは義母のために大阪の病院を見つけ、治療のための施設も見つけました。ここなら時々帰宅して、カルカルちゃんや航くんと海くんと遊ぶこともできる。大阪で80代の義母の、第二の人生が始まるはずでした。 それなのに2023年7月、義母は眠るようにすぅっと亡くなってしまいました。8月には後を追うように、施設にいた義父も他界。転勤がなくなった今、親孝行が始められると思っていたのに…。
かあさんを助けるのは僕たち
Mさんにとって義母は太陽のような存在でした。いつも温かく接してくれ、怒ることなんてありません。どんな時も優しく包み込んでくれていたのです。Mさんの心は空っぽのようになりました。 日々が続くうちに、とうとう布団から起き上がれなくなってしまいました。完全な抑うつ状態です。 そんなMさんを航くんと海くんは責めません。おやつが欲しいとか遊んでほしいとか、わがままを言うことなく、ずっと寄り添い続けました。まるでMさんの心を温めるかのよう。Mさんは「本当に良い子たちが、うちに来てくれた」と改めて感じました。そして、 「この子たちを飢えさせてはいけない」 起き上がって、自分が何かあっても大丈夫なように自動給餌器をスマホで注文。続いてご飯を準備しようと、這うように台所へ。すると、夫がカリカリを持って立っているではありませんか。 「買ってきたぞ。これ、好きなやつだろう」 気づけば、夫も2匹を受け入れてくれていました。何より、Mさんがつらい時は寄り添ってくれる優しさは、元来持ち合わせています。だって、あのお義母さんの息子なんだから。