特技なし、強みなし…自己紹介が苦手な学生が知らない「自分の本当の強みの見つけ方」
特技や強みを持っていない人は、初対面で何を話せばいいかわからず、自己紹介を苦手だと感じていることがあります。しかし日本大学文理学部准教授の大澤正彦氏は、どんな人でも自己紹介を通して過去と向き合うことで特技を発見することができると、書籍『じぶんの話をしよう』の中で語ります。 【脳タイプ診断】人間関係のトラブルの原因がわかる ※本稿は大澤正彦著『じぶんの話をしよう。 成功を引き寄せる自己紹介の教科書』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。
「自己紹介ができない」と言う人の特徴
自己紹介ができない学生を見ていると、自分が生きてきた約20年間を自分なりに意味づけできていない人が多いように思います。そういう学生は、自分のことがあまりよく分かっていません。「あなたの好きなことは何ですか?」「得意なことは?」と聞いても、「いや、特に何もないです」と返す学生はとても多いのです。 しかし、よくよく聞いていくと、対戦アクションゲームがものすごく強いとか、野球選手のホームラン数を覚えているとか、その人ならではの特技が必ず出てきます。にもかかわらず、自分で自分の特技に「意味のないもの」とレッテルを貼っているので、自分の特技が分からなくなっているのです。あるいは、その能力に"特技"というラベルを貼ってもいい、ということを単に知らないだけなのかもしれません。 みなさん決まってこう言います。「こんなの、何の役にも立ちません」と。 でも、私に言わせれば、役に立てる方法を自分で思いついていないだけだと思うのです。物事にちゃんとした意味を求めがちな社会の風潮も、学生たちにプレッシャーを与えているのかもしれません。 「やりたいことは何?」と聞かれると、社会的に意義が認められていて、将来の役に立って、しかも自分が得意なもので......と、限定された「やりたいこと」を要求されている気になってしまうようです。しかし、社会的に意義を認めさせるのも、将来役立てるのも、自分がそれを「やりたいこと」と決めた後にすることです。 一方、自己紹介ができる学生は、自己理解が進んでいます。自分の好きなことや嫌いなこと、得意や不得意、何をやりたいかなど、自分のことがよく見えています。それは、自己紹介を通して自分の過去に向き合い、一つひとつの経験を丁寧に意味づけしてきたからでしょうね。 次に紹介するのは、学生Bさんの自己紹介です。 自分にとことん向き合った結果、コンプレックスだと思っていたことが、実は自分の強みだったことが分かったと言います。自分には夢がないことがコンプレックスでしたが、自己紹介の練習をしてみて分かったことがあります。私はいろんなことに挑戦したいし、どんなチャンスも逃したくない。一つの夢に絞れないから「夢がない」と思っていたけれど、これは夢がないんじゃなくて、「欲張り」なんだと。 だから、私の夢は究極の欲張り人間になることです。それを掲げて大学生活を半年過ごしてきて、自分のコンプレックスが自分の強み、魅力になったことで、自分のことが好きになれたし、決断にも迷わなくなりました。究極の欲張り人間を目指すことで、わくわくも増えました。 マイナスにとらえていた自分の一面に、プラスの意味づけができたことで、自分で自分のことを認められるようになりました。「自分の価値」を自分で決めたBさんからは、未来に向かう前向きなエネルギーが感じられます。