患者の母親がSNSで告発、ウクライナ戦争を批判したとするロシアの小児科医に懲役5年半
ロシアの裁判所は12日、小児科医のナデズダ・ブヤノワ氏(68)に対し、ウクライナ戦争を批判したとして、懲役5年半の判決を下した。検察側は先週、ロシア軍に関する「虚偽」を広めたとして、ブヤノワ氏に懲役6年を求刑していた。 事の発端となったのは、患者の母親がソーシャルメディアに投稿した、ブヤノワ氏のロシア兵を巡る発言を告発する映像だった。今回の事例は、国民同士でも政治犯罪を非難する傾向が広がっていることを示している。 患者の母親は、自身の子どもの父親についてブヤノワ氏が「ウクライナの正当な標的」だと発言したとする動画を撮影。この動画は、ロシアの治安機関に近い独立系メディア「マッシュ」の300万人以上の登録者を有するテレグラムチャンネルで投稿された。ブヤノワ氏は、動画で指摘された発言を否定している。 人権団体「OVDインフォ」によると、ロシアではこれまでに戦争に反対する発言をしたとして1000人以上が刑事訴追され、抗議活動に参加した2万人以上が拘束されている。 小児科医 ナデズダ・ブヤノワ氏 「ばかげている─。全てが、ばかげていると思う。皆に会えて、あなたたちが来てくれて嬉しい。あなたたちは、私の運命に無関心ではないということだ」 ロシアの医師団はブヤノワ氏を擁護する公開書簡を発表。告発は「恥ずべき行為」だとした。 ブヤノワ氏の弁護士 「コメントすることは難しい。他のことが起きると予想していたとは言えない。残念ながら、正義は実現していない。今後に期待している。いずれにせよ真実は変わらない。今後、擁護されることを願っている」 ブヤノワ氏の釈放を求める嘆願書は、6000以上の署名を集めている。 (ナレーションなし)