サービスナウはなぜ、高成長しているのか--ServiceNow Japanの鈴木社長に聞いてみた
「AIエージェント×デジタルワークフロー」がカギに 鈴木氏の説明を少し補足しておこう。 Now Platformが注目される点として改めて挙げておきたいのは、既存の統合基幹業務システム(ERP)や顧客関係管理システム(CRM)などSoR領域の他社のアプリケーションとも連携させて、社内の業務システムとして横断的なデジタルワークフローを構築できることだ。デジタルワークフローで横串を刺すこの仕組みが、業務を自動化し新たなサービスを創出するプラットフォームとして機能するわけだ。すなわち、SoE領域だけでなくSoR領域もつながる点にこそ、ServiceNowのソリューションとしての真骨頂があるというのが、筆者の見方である(図2)。 さらに、ServiceNowの高成長の要因として挙げておきたいのは、有力なコンサルティング会社やITサービス事業者がビジネスパートナー企業として名を連ねていることだ。特に日本では富士通やNECなどが本腰を入れてServiceNowを担ぐ姿勢を示している。筆者の印象では、かつてのSalesforceの勢いをほうふつとさせる動きだ。 そして、ServiceNowの今後の成長に向けてさらに追い風になりそうなのが、鈴木氏も先に触れた生成AIおよびAIエージェントの適用だ。同社では生成AIとして「Now Assist」、AIエージェントとして「ServiceNow AI Agents」をNow Platformから各アプリケーションに適用して、業務の生産性を大幅に向上させようというのが狙いだ。こうしたAIの活用について、鈴木氏は次のように語った。 「AIは人が仕事をする中で自然に効果を発揮するのが望ましい。そうしたAIの効果を最大限発揮させることができるのが、デジタルワークフローの存在だ。とりわけ、業務を代行するAIエージェントにとってデジタルワークフローは活躍の場そのものになる。今後、AIエージェントはどれだけ人の役に立つかが問われることになるが、その際にデジタルワークフローの存在が効果として大きな差をもたらすものになるだろう」 AIエージェントの効果を最大限引き出すには、デジタルワークフローとの組み合わせが必須になるのではないか。そんな気運の高まりが、ServiceNowの成長をさらに勢いづかせる可能性は大いにありそうだ。 この「AIエージェント×デジタルワークフロー」が、企業におけるこれからのDX推進の重要なポイントになるのではないか。すなわち、DXの大きなテーマでもある「業務の自動化」への本格的な取り組みが、いよいよ始まったのである。 最後に、年の変わり目でもあるので、2025年に向けた鈴木氏の思いを聞いてみた。 「デフレからインフレへと移行した経済環境や国際情勢の変化を見据えると、2025年は日本にとって存在感を高めるチャンスとも見て取れる。日本の企業にとっても攻めに打って出るチャンスと見ている経営者が少なくない。その攻めに打って出る格好の取り組みがDXだ。しかも最新のデジタル技術として出てきた生成AIやAIエージェントを活用すれば、長らく日本企業の最大の課題だった生産性の向上に大きな効果をもたらすことができるだろう。そのためにも、しっかりとしたDXプラットフォームを導入していただきたい」 ServiceNowが今後、エンタープライズITベンダーとしてどんな存在になっていくのか。引き続き、注目していきたい。