カプコンの上期売上計画は未達も「モンハン」の新作がリリースとなる下半期に注目
累計販売本数が1億円を突破するタイトルを2つ保有するカプコン
モンスターハンターシリーズは、累計販売本数が1億300万本を超えるお化けタイトル。カプコンは爆発的なヒットに期待できるシリーズを2つ持っています。モンハンはその一翼を担っており、もう一つが「バイオハザード」です。こちらの累計販売本数は1億6000万本を突破しています。 成長戦略においては、2作のような主力タイトルに経営資源を集中し、高収益リピート策として息長く収益貢献する体制を整えるとしています。カプコンは毎期営業増益10%増という高い目標を掲げており、9期連続でそれを達成。今期で10期目。節目の年となるだけに、今期の達成は外せないでしょう。 全体戦略として投資をすべきタイトルを絞り込み、その周辺で新規IPの創出や「ストリートファイター」「ドラゴンズドグマ」などの過去作品の続編の開発を進めています。 2桁増益を連続で達成しているのは、メリハリを利かせた戦略をとっていることも背景にあるでしょう。 カプコンは昨年4月に日本最大級の広さを持つモーションキャプチャー設備を備えた「クリエイティブスタジオ」を新設していました。高性能カメラ150台を設置し、10人同時収録やフルパフォーマンス撮影を行えるというもの。モンスターハンターの新作にもその技術が活かされているとすれば、期待感は一層高まります。
マーケティング強化でファンの裾野を広げる
「モンスターハンターワイルズ」は、ヨーロッパ最大のゲームの展示会であるgamescom 2024の「gamescom award 2024」において、最多受賞の4冠を達成。受賞した一つの「Best Sony PlayStation Game」においては、発売から24時間で300万本を販売したバンダイナムコエンターテインメントの「ドラゴンボール Sparking! ZERO」もノミネートされていました。しかし、モンハンの新作が押しのけて受賞しています。 「モンスターハンターワイルズ」の特徴の一つが、サポートハンターの導入。これはモンスターと戦う中で救難信号を出すと、助っ人が駆けつけてくれるというもの。 モンスターハンターは、オンラインで他のプレイヤーと一緒にクエストを楽しむことが醍醐味の一つ。一方で、一人で気兼ねなく楽しみたいというニーズもありました。サポートハンターはその声に応えるべく、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」で導入した“盟勇”に近いシステムを導入し、更に使い勝手をよくしたものになるようです。 「モンスターハンター:ワールド」は2018年1月に発売されたタイトルですが、2025年3月期上半期に170万本を販売し、カプコンの全タイトルの中でトップに立ちました。拡張パックである「モンスターハンターワールド:アイスボーン」も140万本を売っています。足元でモンハンワールドブームが起こっているのです。 これはカプコンが意図的に仕掛けた部分が大きいでしょう。2024年6月の「CAPCOM JUNE SALE」にて「モンスターハンター:ワールド」を67%オフの986円で販売するキャンペーンを実施したのです。7月にも「モンスターハンターワールド:アイスボーン」を25%オフで販売するセールを行いました。 新作発表前にファンを取り込もうとマーケティングを強化しているのは明らか。それがファン同士のコミュニケーションの活発化に繋がり、新作への期待感にも繋がっています。 カプコンの下半期には大注目でしょう。 文/不破聡
@DIME編集部