Apple Vision Proを付けて仕事をする暗号資産開発者たち──コワーキングスペースの新しい流行に?
全員がアップルの新しいヘッドセット「Apple Vision Pro」を装着しているオフィスを見たい? 米ユタ州ソルトレイクシティの「mtnDAO」と呼ばれるソラナ(Solana)ブロックチェーンに焦点を当てた開発者たちの集まりで見ることができる。 彼らはオタクでリッチ。アクセサリを含めると5000ドル(約75万円、1ドル150円換算)以上もする新しいデバイスを試すにはぴったりの層だ。 1カ月に渡るコワーキングイベントの参加者のうち、20人以上がVision Proを購入した。彼らは毎日、洗練されたデザインのゴーグルを身につけ、現実をデジタルで再現した空間と彼らだけに見える巨大なワークスペースを行き来している。 mtnDAOは、アップルのティム・クックCEOが提唱する、現実世界がデジタルゴーグルによって強化される「空間コンピューティングの時代」を垣間見せてくれるかもしれない。 誰もが同時にデジタルゴーグルを使って、仕事し、遊び、交流し、さらにはお互いに並んで、ゴーグルをつけたまま食事まで楽しんでいる。クック氏がVision Proを発表したのは、2023年6月のことだった。 何よりも興味深いのは、すべてが有機的に起こったことだ。ここはインフルエンサーや企業スポンサーを介さず、ただ自然発生的に現れた未来のワーキングラボだ。 ここにいる人たちは、VRテクノロジーの開発企業で働いているわけではない。彼らはほぼ全員、暗号資産(仮想通貨)業界で働くフリーランス技術者だ。彼らは日々、「金融の未来」、つまり暗号資産、NFT、ソラナブロックチェーンで作られた世界のための製品開発に取り組んでいる。
好調なソラナの恩恵
これほど多くの20代、30代がVision Proを購入できるのは、暗号資産、特にソラナのおかげかもしれない。 10月以来、ソラナブロックチェーンのネイティブトークン、ソラナ(SOL)は10倍以上に上昇し、2023年は最高のパフォーマンスを記録した。mtnDAOの参加者は、ソラナ愛好家が多く、SOLをたくさん持っている。 そして、エアドロップ(ブロックチェーンプロジェクトが初期ユーザーにインセンティブを与えるために行うトークン配布)もある。過去数カ月の間に、ソラナ上で開発された一連の金融アプリケーションが、独自のトークンを作成し、高額な報酬をパワーユーザーに与えた。 ジュピター(Jupiter)のようなプラットフォームでトークンを取引するだけで、Vision Proの購入者の中には数万ドル相当のエアドロップを受け取ったという人もいる。 「5000ドルの衝動買いであることは承知しているが、5000ドルのエアドロップを受け取ったばかりだから」と、モナド(Monad)ブロックチェーンの開発者リレーションを担当する、ソラナのコントリビューターであり、mtnDAOの参加者でもあるZenLlama氏は語った。