42歳で独身、親が心配し「年100万円」近く振り込んでくれます。親も70代なので「いらない」と言っても「相続税の対策になるから」と言われます。贈与税も払っていないのですが、大丈夫なのでしょうか?
贈与税の基礎控除を活用する際の注意点
贈与税の基礎控除を活用して、親から子どもへ贈与を行えば、贈与税だけでなく、相続税の対策にも寄与します。しかし、そのような贈与にもいくつかの注意点があります。 例えば、毎年の贈与が「10年間で1000万円」といった約束が前提の「定期金給付契約」と見なされると、10年間毎年100万円ずつ贈与しても、約束した年に一括で課税されます。そのため基礎控除は1年分の110万円しか認められず、贈与税は「(1000万円-110万円)×税率30%-税額控除90万円」の計算式で177万円にもなってしまいます。 では、定期金給付契約とみなされないためには、どうすればいいのでしょうか。まず、毎年贈与契約書を作成すれば、贈与の事実を客観的に証明可能です。 贈与契約は口約束でも有効ですが、税務調査などを考えれば、贈与契約書があることで毎年の贈与の証しになります。また、毎年の贈与額は基礎控除ありきの110万円ではなく、必要な支援金額に応じて贈与することも大切です。 また、親が亡くなり相続が発生した際には、相続が開始する前の一定期間内に贈与された分を相続財産に持ち戻し(加算する)があることにも注意が必要です。この持ち戻し対象期間は相続開始3年間から7年に延長され、2024年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税から段階的に適用されます。
まとめ
親から子どもへの支援であっても贈与税の課税対象ですが、贈与した財産が年間110万円以下であれば、一定の場合を除き贈与税はかからず申告も不要です。さらに援助する親から見ると、子どもへの毎年の贈与は、財産の状況次第で相続税対策にも寄与します。 いずれにしても、最終的に税負担をするのは、贈与を受けたり相続を受けたりする子どものほうです。親子間で生前に財産のやり取りを行う場合は、贈与税や相続税に関して共通認識を深めてみてはいかがでしょうか。 出典 財務省 贈与税に関する資料 国税庁 財産をもらったとき 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税) 執筆者:松尾知真 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部