明日香に国蝶…羽ばたく夢 師匠継ぎ、オオムラサキ1500匹羽化
■「蝶たろう」の名でも
翌4年には、明日香村の飛鳥美人壁画で有名な高松塚古墳から歩いて数分の場所に飼育ハウスを設置。「国蝶でもあり、日本の国が誕生した飛鳥の地にマッチするのでは」。クラウドファンディングで建設費の支援を呼びかけ、目標の50万円を大きく上回る約220万円が寄せられた。
現在は「蝶たろう」の名でユーチューバーとして活動しハウスでの飼育を動画で発信しているほか、県内外の小学校で出前授業なども実施。「将来はハウスを拠点に子供たちがいつでもチョウに触れ合える場にしたい」と目を輝かせる。(小畑三秋)
◆オオムラサキ 羽を広げると10センチほどになり、タテハチョウ科の中では国内最大級。華麗で堂々とした姿から、日本昆虫学会が昭和32年に国蝶に選定した。6~7月ごろ産卵し1週間ほどで孵化(ふか)。幼虫はエノキの葉を餌とし、越冬して翌年夏前にさなぎから羽化して成虫になる。日本列島に生息するが、高度経済成長を機に開発に伴う里山の減少などで徐々に減少。レッドリストの「準絶滅危惧」は、生息条件の変化によって「絶滅危惧」に移行する可能性がある種とされる。