日本女子大国際文化学部の授業では、留学を控えた学生たちが真剣な表情で授業に臨んでいた＝東京都文京区（三尾郁恵）

夏休みが明け、来年春の大学入試に向けて受験生たちが志望校を固める時期となった。注目されるのは、新型コロナウイルス禍の低迷を脱しつつある国際関係や外国語といった学部の志望動向だ。日本を訪れる外国人の数が上半期に過去最多を記録する一方、日本の若者にも海外に目を向ける「外向き」志向の高まりも目立ち、人気を押し上げる可能性がある。 【ひとめでわかる】国際関係学部・外国語学部…志願者数の推移 ■留学を必修化 「みなさんにとって、オックスフォードはどんなイメージでしょうか？」。東京都文京区にある日本女子大。英国出身の男性教員の問いかけに、学生たちは「古い街並みが魅力的」「由緒ある大学があり、知的なイメージ」などと応じていた。昨年４月に新設された国際文化学部の全編英語の授業の一場面だ。 同学部では、「脱教室・脱キャンパス」を掲げ、１年次の学生全てに２週間程度の海外研修を必修化。行き先は、英オックスフォードや米ボストンなど７つの国・地域から選択でき、この日の授業もその事前準備の一環だった。 ２、３年次になると、最長で１年間の留学機会が設けられ、欧米や中国などの大学で海外体験を深めることができる。 「現地の学生たちと交流でき、モチベーションが高まった」。こう振り返るのは、１年次にオックスフォードの研修に参加した２年の西川寧子さん（21）。日本のアニメを海外に宣伝する仕事に就きたいと考えており、今年は本格的な留学を目指している。 小学生の頃から英会話を続けてきた１年の小久保知英里さん（18）は「語学を通して海外の文化も学べそうだ」と海外研修を楽しみにしていた。 国際文化学部長の河本真理教授は「国内外でのグローバル化への対応が必須。留学して実践的に異文化を学ぶ需要が高まっている」と語る。 ■関心高まる留学 日本政府観光局（JNTO）の推計によると、今年は円安を追い風として、6月までの訪日外国人客（インバウンド）数の累計が約1778万人に上り、上半期として過去最多を記録。コロナ禍前の令和元年を上回り、年間3500万人に達する見込みという。 訪日客による1～6月の消費額も3・9兆円となり、上半期の過去最高を更新。この千載一遇のビジネスチャンスに活躍できるグローバルな人材が、これまで以上に求められるようになっている。