世界的な学力テスト「PISA」で日本が好成績!結果のポイントと好成績の理由を解説
【3.子どもたちがICT機器に慣れてきた~GIGAが後押し~】 2019年に打ち出された「GIGAスクール構想」によって、全国すべての小・中学校で1人1台端末が配られ、インターネット環境が整備されました。授業でのICT活用も進みつつあり、家庭での利用も含めると、この3年間ほどで子どもがICT機器を使うケースがとても多くなりました(図2)。端末を使った宿題も増え、保護者のかたも、お子さまのメディア利用について心配したり声をかけたりする機会が増えたのではないでしょうか。 PISAは、コンピュータ上で出題され、答えも画面に入力して回答します。この「CBT」というやり方は2015年から始まりました(それまでは紙と鉛筆による出題・回答)。他国と比べてICT機器に慣れていなかった日本の子どもは、問題を解くだけの十分な力があっても、回答に必要なコンピュータの操作に不慣れなために力を発揮しきれなかったとも言われます。2022年の今回の調査では、GIGAによってCBTに慣れている子どもが増えたため(図3)、もともとの力を発揮できたと考えられます。
※「あなたは授業のなかでICT機器をどれくらいの頻度で使用していますか」と尋ねている。 ※「毎回の授業」+「7~8割程度の授業」 +「半分程度の授業」の割合を示している。 出典:ベネッセ教育総合研究所「小中高校の学習指導に関する調査2021-2023」
出典:東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究 「子どもの生活と学びに関する親子調査2022」
まとめ & 実践 TIPS
日本に暮らし、日本の価値観や順位づけだけに目が向いていると、世界的に見た私たちのよさや特徴までわからなくなってしまいがちです。しかし、PISAの調査結果によって、日本の学校教育の強みが改めて浮き彫りになり、国際的にも評価されました。もちろん、学校だけでなく、ご家庭での保護者の関わりや、お子さま自身のがんばりも大いに評価されるべきです。 今は手元のスマートフォン1台で世界中の動きがわかる時代。しかも、翻訳ソフトを使えば、たとえ言葉がわからなくても情報を得たりコミュニケーションをとったりすることができます。今回のPISAの国別の結果も、OECDのウエブサイトで見ることができます。お子さまとも、日本と世界の高校生の違いを話してみたり、世界で話題になっている面白いニュースや出来事について話してみたりするのもよいでしょう。お子さまにグローバルな感覚を身につけてほしいと願う保護者のかたは多いと思います。そのためにも、ご家庭で「○○は世界ではどうなっているんだろう」「ほかの国の○○を見てみよう」といった世界への好奇心を、保護者のかた自身が持ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。