LUNA SEA結成35周年ツアーでの挑戦、東京ガーデンシアターで見せたバンドの未来
壮大なロックンロールショーのはじまり
定刻7分過ぎ、客電が消え、大音量のSEが場内になり響くと同時にSEに負けないほどの歓声が満員のガーデンシアターに響き渡る。SUGIZO、真矢、J、INORAN、RYUICHIの順にメンバーがステージに登場。1曲目は「JESUS」。LUNA SEAのライブ定番曲で会場はいきなりボルテージがあがる。長いツアーを感じさせない勢いとパワーと切れが演奏からバシバシと伝わってくる。真矢とJのリズム隊のタイトで重いリズムは93年当時より圧倒的に進化したはずで、1曲目から大きな会場を揺さぶった。ちなみに、「JESUS」はアルバム『EDEN』の1曲で、はやくもアルバムの世界へいざなってゆくという、壮大なロックンロールショーとしての仕掛けでもあるところがこのバンドの深みだ。 2曲目は「Dejavu」。これもライブの定番曲で、INORAN、Jはステージを縦横無尽に駆け巡り、SUGIZOのギターソロではRYUICHIが背中合わせで一体になる。大きな会場だが、メンバーの動きに導かれるように、オーディエンスも自由に首を振り、身体を動かし、そして会場が一体になってゆく。2曲目にしてラストのコール&レスポンスは会場が割れんばかりのものとなった。 ここでRYUICHIが「どこまでも飛んで行こう!」というMCを挟み、さらに煽る。そして、3曲目「ANUBIS」というアルバム曲をぶち込みここからが本格的な『EDEN』ワールドへ突入。4曲目「STEAL」はブギー調の曲でSUGIZOのフレットレスギターによる印象的なリフがかっこよく、そしてJが刻むベースラインもユニークで、LUNA SEAというバンドの引き出しの多さに驚く。つづく、「LAMENTABLE」は普段のライブではあまり耳にすることのない曲で、おそらく演奏されるのは2018年振りのはずで、会場がどよめく。 そして、ライブ前半の山場にしてこの日のライブの真骨頂的だったのが、7曲目「Providence」と8曲目「Claustrophobia」。「Providence」は当時20代前半のバンドが作ったとは思えない曲。ワルツ調でSUGIZOの幻想的なヴァイオリンがこの歌の世界観を物語っている。当時の演奏を生で観ていないのだが、今のLUNA SEAはこの曲で表現しようとした世界観がライブで十分すぎるほど表現されている。このシアトリカルでアートな世界はVirgin PrunesやNina Hagenあたりが好き方には垂涎で、この世界観をこの大きな会場で表現できるLUNA SEAというバンドの力に脱帽した。 そして「Claustrophobia」この曲は『EDEN』の収録曲ではないが、アルバムの先行シングル「BELIVE」のカップリング曲。キングクリムゾンの持つ狂気と、クラウト・ロックが持つ実験性をも内包するプログレ好きにはたまらない曲だが、この曲の作曲者は意外にもINORAN。SUGIZO、INORAN、Jの3人のメインコーポーザーがいるLUNA SEAだが、それぞれの引き出しの多さに改めて驚く。そしてLUNA SEAというバンドがひとつのジャンルに収まらない理由に改めて納得する。 この「Claustrophobia」でのRYUICHIのボーカルは神がかっていた。1曲目の「JESUS」のようなハードロックなナンバーを歌った同じボーカリストとは思えない表現を聴かせてくれた。静かにすこしずつ壊れてゆく…そんなRYUICHIの歌に会場全体がかたずをのんだ。 この「Claustrophobia」で前半が終了。15分ほどのインターミッション挟み、後半へ。