世界初「3Dプリントウナギ」 植物由来原料でかば焼きを再現 イスラエルのフードテック企業が発売
イスラエルのフードテック企業であるステークホルダー・フーズは植物由来原料の「3Dプリントウナギ」製品を開発し、2023年12月27日に発売した。自社開発の3Dプリンターによる精密な積層技術と独自の素材で「ウナギの複雑な食感を正確に再現した」と同社。3Dプリントウナギは白身にたれがかかり、かば焼きの風味を再現したものとみられる。
植物由来の代替ウナギとしては日清食品ホールディングスが2023年5月にプラントベースうなぎを発売したが、3Dプリンターで作成したウナギ製品は世界初とみられる。
ステークホルダー・フーズのアリク・カウフマンCEOは「当社の3Dプリントウナギの発売は水産業界にとって非常に重要な出来事。当社の魚介類印刷技術の『ドロップジェット型技術』は月数百トンの規模で生産が可能で、大きな可能性を示す。天然ウナギに比べて低コストでさまざまな製品の生産も可能だ。水産業界を持続可能な産業に転換できる」と強調する。
同社は「独自の3Dプリンターと“インク”を提供し、3Dプリントウナギを販売するパートナー、協力関係を模索している。競争力のある価格帯での大量生産が可能。現在の世界的なウナギ価格によるコストの課題に取り組める」と販売協力先を求めている。さらに同社が持つ細胞培養技術を活用して今後は養殖ウナギの細胞から3Dプリントウナギ開発も進める計画。
世界のウナギ市場は2022年に43億米ドル、年平均成長率2・19%と推計されるが、主に天然のシラスウナギ資源に依存する。同社は「ウナギ産業は消費の大部分を占める日本での乱獲や絶滅の危険性などいくつかの重大な課題に直面する。ウナギの複雑なライフサイクルに起因する繁殖の難しさや規制、密漁や闇取引などの問題が状況をさらに悪化させており、持続可能な代替手段の必要性が高まっている」と指摘する。
なお同社は、シンガポールの培養魚肉開発企業であるウマミ・バイオワークス社と協業し、ハタの細胞から3Dプリントした培養ハタの切り身製品を2023年5月に開発。イスラエルのネタニヤフ首相が同製品を試食し、「世界で初めて3Dプリントの培養魚を食べた首相」として話題になった。