「眠れる有権者」ヒスパニックが目覚めた...激戦州アリゾナで語った複雑な本音とは?
今後も影響力は拡大し続ける
取材に応じてくれたパシオニとガルシアは、選挙期間中に各地で展開された「トランプのためのヒスパニック」運動に熱心に参加した。不法移民政策をめぐる考え方でやや違いはあるが、共通していたのは、かつて「眠った有権者」とも評されていたヒスパニックの政治力への確信だった。 国勢調査によれば、ヒスパニックの人口はアメリカ全体の約19%に当たる約6400万人で、白人に次ぐグループになった。国内でヒスパニック最大の人権団体「ウニドスUS」はトランプ政治には批判的な立場だ。 しかし、政権選択の鍵を握ることになったヒスパニック票について、幹部はこう誇示した。 「投票したヒスパニックの数は歴史的なレベルで、今後も影響力は拡大し続ける。ヒスパニックのコミュニティーは(政治の)重要局面で効果的に結集できる。これが、今回の大統領選が発したメッセージだ」 選挙に限らずアメリカ国内のヒスパニック市民と話して分かるのは、社会的な地位、そもそもの出身地や宗教観も幅広く、決して単一価値の集団ではないということだ。 自らの力に目覚めながら、まだ形が見えない部分も多いこのグループとどう向き合うか。それは2028年の次期大統領選でも焦点になるだろう。
半沢隆実(共同通信特別編集委員)