侍ジャパン敗北に収穫はあったのか…井端弘和監督が語る日本代表の未来「僕が一番想定したのは…」「清宮(幸太郎)だって必ず日本の力になってくれる」
WBCと五輪を見据えたアピールの場
2026年の第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)と、さらにその2年後には野球が正式競技に復活するとみられるロサンゼルス五輪がある。そこにターゲットを絞って、若手選手の発掘と経験を積ませることも、このチームに課された使命であったはずだ。 選手たちにとっても、当然、2年後のWBC出場のために、この大会はアピールの場でもあった。 「WBCに出るため、国際大会に強いことをアピールしたいというところもあるので。(プレミア12で)大暴れして、必ずWBCに“降臨”したいと思います」 こう語っていたのは今回が代表初招集だった辰己涼介外野手(楽天)である。昨年のアジアプロ野球チャンピオンシップに続く代表入りとなった森下翔太外野手(阪神)もWBC出場に向けてこう語っていた。 「出たいですね。やっぱり(前回大会の)優勝を観て、自分も最終的には主力を打てるような選手になりたいと思います」 そんな意欲を持って、選手たちが戦いに臨んでいたのは確かである。 ただWBCにはメジャー組も加わるために、国内組として今回のメンバーからどれだけの選手が招集されるかは分からない。
想定したのはロス五輪を懸けたアジア最終予選
だからこそ井端監督は、そのもっと先を考えて今回の代表チームを編成したと語っているのだ。 「僕がこのチームを組むときに一番、想定したのは2027年オフにあるロス五輪出場を懸けたアジア最終予選です。なぜなら五輪予選は十中八九、国内組で戦わなければならない。だから今回の代表には、そのときにチームを支えられるような選手を選んだつもりです」 金メダルに輝いた2021年の東京五輪は、地元開催で予選免除だった。それ以前にオールプロで五輪に出場するようになってからは、03年と07年のアテネ、北京両五輪のアジア最終予選を日本は戦っている。 両予選に出場して五輪本大会出場を決め、第1回のWBC出場経験もある元ヤクルト・宮本慎也さんはその厳しさをこう語っていた。 「五輪の予選は負ければ本大会に出場すらできない。100か0という戦い。そのこれ以上ないプレッシャーの中でのプレーというのは、ある意味、WBCや五輪本大会以上の過酷さがある」 そのために少しでも日本とは違う野球を経験して、その上でグラウンドに立って投げて捕り、打つ。それもまた「プレミア12」で集まった選手たちがやらなければならないことだったのである。 森下はアジア最終予選のときには27歳だ。 「オリンピックは特別ですよね。日の丸を背負うという意味でも、WBCとは全く違う戦いだと思いますし出たいですね」 同じく27歳となる広島・小園海斗内野手はすでに五輪も意識しているという。 「3年後に予選があるのは知っていました。もちろん出たいですし、そこに呼ばれるような選手でありたいと思っています」 まさに油の乗り切る20代後半を迎える選手たちを、国内組のフルメンバーとして五輪予選に集結させたい。それがこのチームの“裏テーマ”だったのである。
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