トンネル工事の概要説明 おがみ山バイパス事業 鹿児島県奄美市名瀬
鹿児島県は25日、奄美市名瀬の交通渋滞の緩和や災害対応の強化などを目的に進めている国道58号おがみ山バイパス事業について、同市名瀬の名瀬中学校体育館でおがみ山トンネルの工事説明会を開いた。名瀬真名津町側の周辺住民ら約20人が参加。県の担当者が工事の概要やスケジュールを説明し、工事への理解を求めた。 おがみ山バイパス事業は2002年度に事業着手していたが、地元の合意形成が不十分として09年度から中断。18年に市が県へ整備促進を要望し、奄美市が行った未買収地地権者への意向確認調査で約9割から賛同を得られたことなどを理由に、19年度に再開した。 バイパスの総整備区間は名瀬永田町-名瀬平田町の総延長約1・8キロ。このうち名瀬永田町と名瀬真名津町を結ぶトンネルは延長1225メートルで、真名津町側から永田町側へ掘り抜く計画を採用している。25年2月にトンネル掘削に着手することから、真名津町側住民を対象に工事説明会を開いた。 県大島支庁建設課と施工業者によると、真名津町坑口側ではトンネル掘削を前に地盤改良と擁壁工、盛り土などを行った後、坑口正面に騒音低減などを目的とした防音ハウス(長さ44・5メートル、幅23メートル、高さ13・5メートル)を整備する。ハウス内には昼夜問わず作業ができるよう、コンクリートを製造するプラントやずり(土砂)仮置き場などを設ける。 トンネル掘削で発生した土砂は、午前8時から午後4時ごろまで3~4分間隔で搬出する。掘削現場周辺では工事車両通過時の振動軽減や粉じん飛散防止、交通事故を防止する各種機器の設置・交通誘導員の配置などの対策を講じる。 トンネル工事に関する工期は24年3月~27年12月。掘削期間は27年夏ごろまでを予定する。掘削完了後はトンネル内の照明、非常用設備、舗装工事に加え、道路改良工事も進めることから、おがみ山バイパスの完成、供用開始時期は現時点で未定という。 真名津町側坑口周辺は名瀬中学校に近接し、午前8時前後は通勤、通学などで周辺の現国道は混雑する。説明後の意見交換で参加者からは「渋滞緩和のため土砂搬出の開始時間を遅らせてほしい」「坑口周辺は通学路になっている。安全面の配慮を」などの要望があった。 大島支庁建設課の増田貴文課長は「おがみ山バイパス整備は、地権者をはじめ地元の皆さんのご理解、ご協力が不可欠。安全を第一に工事を進めていく」としてバイパス事業への理解を求めた。