プライメタルズ、低騒音・発塵抑制型の鉄スクラップ用切断機開発。独社から受注・脱炭素に商機
三菱重工業系の製鉄プラント会社、プライメタルズ・テクノロジーズ(PT、本社・ロンドン)は27日、鉄スクラップを熱で切り分ける新たなトーチ切断機を開発したと発表した。切断時の騒音や発塵を抑えられる特長を持ち、オペレーターの安全性向上や作業負荷軽減につながる。脱炭素で鉄スクラップ活用を増やす鉄鋼メーカーなどに提案し、受注拡大を目指す。 既にドイツの特殊鋼電炉メーカー、レヒ・シュタールヴェルケから受注し、同国南部マイティンゲン工場への設置を完了した。新設備の処理能力は1日当たり500トン。最大70センチの厚さのスクラップを細断できる。 トーチ切断機は、PTが2023年に買収したスペインの新興企業TCTの技術者が開発。ビレットや棒鋼の束などさまざまな形状のスクラップに対応し、目的に応じた寸法へと正確に切り分けることができる。 切断キャビン外側における騒音レベルは90デジベル未満を達成。独自の除じんシステムの搭載により、スクラップ切断に伴うダスト排出はゼロという。ダストが出ないため屋内設置も可能で、騒音対策の徹底にもつながる。 ビデオ監視システムを用いた遠隔操作機能や切断プログラムの事前設定といった機能も備えている。 PTは、脱炭素化でスクラップ活用拡大を目指す高炉メーカーで開発機のニーズが高まると想定。また、スクラップの選別・管理を強化するため、従来は外注していた切断業務を自社対応に切り替える関連事業者の需要も増えるとみており、提案を強める。