広島のサヨナラ敗戦に2つの疑問
日本シリーズの第3戦は、延長10回に日ハム、大谷翔平の劇的なサヨナラ打でフィナーレを迎えたが、そのサヨナラシーンには、2つの疑問が残った。場面は3-3で迎えた延長10回。9回からマウンドに上がった大瀬良は、この回も続投し、一死から西川を四球で歩かせた。途中出場の陽を三振。二死をとったが、ここで先発の黒田から2本二塁打を放っていた「3番・DH」の大谷を迎えることになった。 カウント1-1から今季41盗塁の西川が仕掛けた。大谷は、援護の空振り。盗塁は許したが、大谷をカウント1-2と追い込むことになった。一塁は空いた。だが、カウントは投手有利。8回には、ジャクソンが二死二塁から大谷を歩かせ、中田との勝負を選択して、逆転タイムリー二塁打を打たれている。 大瀬良がプレートを外したこともあって、石原がマウンドに向かい、畝投手コーチも、どうするか確認のためにベンチを出た。試合後、緒方監督は、「大谷としっかり勝負、それを確認させた」という。 だが、インローのボールの147キロストレートを大谷に上手くバットコントロールされた。一、二塁間を抜かれるサヨナラタイムリー。敬遠が正解だったのか、大谷を打ち取る方策はなかったのか。 評論家の池田親興氏は、このサヨナラの場面に、こんな疑問を抱いた。 「追い込んでいたし、勝負する場面だと思う。敬遠はない。石原はインサイドに構えたが、なぜもっと高めをつかなかったのか。大谷は、試合後、『フォークを待っていて、追い込まれて広く待った』と、明らかにしていたが、もしストレートで攻めるのならば、インハイを攻めていれば、ああいう反応はできなかったと思う。遠慮する必要もなかった。あの1球は、ボール球。それを反応で打った大谷が見事だったことは確かだが、カウントが有利なのだから、フォークでも良かったのかもしれない。配球も、コントロールも、あのボールの意図も中途半端だったように感じた」 そして、もうひとつ池田氏が、指摘するのは、外野手の守備隊形だ。 「なぜ前進守備のセオリーを守らなかったのか。カウントを追い込んだところからでも動くべきだったと思う。守備と機動力に定評のある広島がなぜあの守備隊形をとったのかがわからない。コリジョンの適用で守備側が不利になっているだけになおさら極端な前進守備を敷いて勝負するべきだったと思う」