4万ドルを初めて超えたNYダウ!アメリカの株価上昇は続くのか? 現地アナリストが注目点を解説
アメリカを代表する株価指数のNYダウ(ダウ工業株30種平均)が5月に史上初めて4万ドルを突破した。IT関連を中心とした米企業の好調な業績に加え、アメリカの中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利引き下げに対する期待が株高の背景だ。経験則からアメリカ大統領選挙の年は株価が上がるとも言われている。株価の上昇基調が続くのかどうか、現地のアナリストらに先行きを聞いた。(共同通信ニューヨーク支局=杉山順平) 【2024年アメリカ大統領選】トランプはなぜこんなに強い?言動は問題だらけ、でも有権者は「違う部分」を見ていた…
▽日本市場にも影響を与える世界で最も有名な指数 NYダウは、ニューヨーク株式市場に上場しアメリカ経済を代表する企業30社で構成される株価指数だ。金融やヘルスケア、製造業など、産業のバランスを配慮している。1896年に12銘柄でスタートしその後に段階的に増えて1928年に現在の30銘柄になった。 当初はダウ・ジョーンズ社が公表していたのが「ダウ」の由来だ。現在はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が構成銘柄を選定し、その値動きは東京株式市場の日経平均株価をはじめ、世界中の株式市場に影響を与える。 構成銘柄は時代の変化に応じて随時入れ替えられており、企業の栄枯盛衰を反映している。ITのアップルやマイクロソフト、ファストフードのマクドナルド、娯楽・メディアのウォルト・ディズニーなど日本でもなじみのある企業が並ぶ。今年2月26日からは小売りのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスが外れ、電子商取引(EC)の代表格、アマゾン・コムが採用された。
算出が始まった1896年5月26日の終値は40・94ドル。1972年に初めて1000ドルを付け、1999年に1万ドルを突破した。2008年のリーマン・ショックで大きく値を下げたが、2017年1月には初めて2万ドルに到達した。 新型コロナウイルス禍で落ち込んだものの、2020年11月に3万ドルを超え、3年半後の今年5月16日に取引時間中に初めて4万ドルを超え、翌17日には終値でも4万ドルの大台に乗せた。日経平均株価が今年2月、バブル期以来約34年ぶりに最高値を更新したのと比べ、ダウはこの数十年、最高値の更新を続けており、アメリカ経済の力強さがうかがえる。 ▽市場をけん引する「マグニフィセント7」 さて、この力強さはこの先も続くのか。大手金融機関のUBSグローバル・ウェルスマネジメントでマルチ・アセット・ストラテジストを務めるキラン・ガネーシュ氏は「アメリカの経済成長は比較的健全で、世界の他地域も改善の兆しがある」と指摘し、今後も堅調に推移するとの見方を示す。 今のアメリカ市場をけん引する代表的な存在が「マグニフィセントセブン(M7、壮大な7銘柄)」と呼ばれる企業だ。アップルやグーグル、アマゾン、メタ、マイクロソフトの巨大IT企業5社に、半導体大手エヌビディア、電気自動車(EV)大手テスラの2社を加えた7銘柄を指す。EV販売の減速を背景にテスラは最近、低迷気味だが、日本企業で時価総額トップのトヨタ自動車を上回る。