この作品で人生を楽しく生きるヒントを受け取って!『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』
TV『王様のブランチ』で2001年から映画コメンテーターとして出演するほか、マルチに活躍されているLiLiCoさん。これまでも数々の映画をナビゲートしてきたLiLiCoさんに、「これは絶対に観逃してほしくない!」という“埋もらせ厳禁”な映画について語っていただきます。 【全ての画像】『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』『アニマル ぼくたちと動物のこと』
“後悔がない人生”とは何か、観た人自身が今何をすべきか考えさせられるはずです
大作が続々公開される予定になっている6月。早く観ないと終わっちゃうよ!という良作を今回も2作紹介します。まずは『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』。イギリスのベストセラー小説『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』という小説を基にした感動ロードムービーです。 定年退職をして妻と穏やかなリタイア生活を送っていたハロルド・フライ。そんな彼に1通の手紙が届きます。手紙の主は元同僚の女性クイーニー。彼女とハロルドはビール工場で一緒に働いた仲ですが、イギリスの北の果てにいるという彼女の命はもうすぐ尽きてしまう、とありました。 すぐにでも返事を出そうとするハロルドでしたが、手紙を出そうと家を出てすぐに気持ちを変えます。なんと彼は800キロも離れたクイーニーのいるホスピスまで歩いて行くことを決意。実はハロルド、クイーニーにどうしても会って伝えなければならないことがあったんです。 そこで、彼は彼女が暮らすホスピスに電話をし、「私が歩く限りは生き続けてくれ」と伝言を残し、手ぶらのまま歩き始めてしまいます。はたしてこの旅、どうなるのか。また、ハロルドが伝えたいこととは……? 奇妙な設定ではありますが、とても心が穏やかに、幸せになる作品。私が最近よく引き受けているトークの仕事に「どうすればハッピーになれますか?」というテーマのものが多いんですよね。もともと映画を紹介する仕事は、映画からいいメッセージを受け取って、それを皆さんにも感じていただき、人生を楽しく生きるヒントにしてもらいたいから。その点でこの作品はベストマッチなんですよ。 死を扱った映画でもあるんですが、それは翻ると「自分の人生をどう生きるか」ってこと。とかく日本の人は自分の人生を大事にしない人が多いように思っているので、この作品を観ると受け取れることが多いんじゃないかな。 ハロルドとクイーニーの関係や、ハロルドと妻、そしてフライ家のことなど、中盤くらいの展開は観てからのお楽しみ。ネタバレ厳禁になってしまうので多くを語れませんが、ハロルドの旅はひとりじゃないことだけヒント。ハロルドの徒歩旅は、メディアで話題になり、『フォレスト・ガンプ/一期一会』のように一緒に歩く若者が大勢現れるんですね。 彼らがなぜ一緒に歩いているかというと、彼ら自身が変わりたい欲求を抱えているから。そして当のハロルドもクイーニーに伝えることで、残りの人生を変えようとしています。 この作品を観たら“後悔がない人生”とは何か、そして、なんとなくやり過ごしてしまって残った心のコリに対して、感謝と謝罪ができるのか。観た人自身が今何をすべきか考えさせられるはずです。