この作品で人生を楽しく生きるヒントを受け取って!『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』
環境問題に関心がなかった大人にとって、ちょうどいい教科書になると思います
もう1作は6月1日から都内1館でスタートしたドキュメンタリー。『アニマル ぼくたちと動物のこと』です。 16歳のベラとヴィプランは、動物保護と気候変動問題を意識して活動するティーンエイジャー。彼らの世代は、自分たちの未来が、今を仕切る大人たちによって危機にさらされていると感じています。そんな彼らが知ってしまった大問題。それが“種の絶滅”。 実は過去40年間に絶滅した脊椎動物や昆虫がものすごい膨大な数で、科学者たちの間では「6度目の大量絶滅」と呼んでいるほど。このままでは人類も残れないのでは?と考えたふたりは、映画監督で環境活動家のシリル・ディオン(本作の監督)と手を組み、世界中の環境問題について学ぶ旅に出ます。 ふたりの目的は今ある問題を知ること、そしてよりよい未来のための解決策を見つけること。彼らが抱く危機感と現状を描くドキュメンタリーです。 ゴミだらけになっているムンバイや、海のゴミの今など、本当に衝撃的。プラスチックごみがどのように環境に悪影響を与えているか、ということは、今や誰でもご存知だとは思いますが、ここでちょっと考えてみて。メディアで大きく取り扱われているときだけその問題に目を向け、ちょっとそれが収まったら忘れちゃってません? 例えばストローがプラスチックから紙になったときや、ショッピングバッグが有料化したとき。それが当たり前になってしまうと、途端にその根幹にある問題がピンボケしてしまうんですよね。そもそもプラスチックごみを出して捨てているのは誰?ってことを今一度考えなければいけませんし“6度目の大量絶滅”に人類も入るかもしれないことを知るべき。 グレタ・トゥーンベリさんをはじめ、今のティーンエイジャーが持つ環境問題への意識の高さは素晴らしいですよね。この問題を考えないといけないのは、当然彼らだけでなく、世の中を動かしている大人たちも、なんですが、なぜか進まない。というか、知ろうとしない人が多すぎるように思います。 この作品は、キッズでも大人でもない、ハイティーンのふたりの目を通した環境問題の今が描かれているので、むしろこれまで関心がなかった大人にとってはちょうどいい教科書になると思います。 (C)CAPA Studio, Bright Bright Bright, UGC Images, Orange Studio, France 2, sCinNa 2021 (C)Pilgrimage Films Limited and The British Film Institute 2022 取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己 『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』 上映中 『アニマル ぼくたちと動物のこと』 上映中 ■LiLiCoプロフィール 1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。